ボディガードとナイフ

「ボディガードの射撃技術」でも書きましたが、日本には世界でも有数のとても厳しい銃砲刀剣類所持等取締法(以下、「銃刀法」という)があります。この銃刀法によって、日本の平和は守られているといっても過言ではありません。しかし、この法律は銃だけでなくナイフすら正当な理由なしにナイフを所持することを認めないので、民間のボディガードにとっては少し厄介です。日本でボディガードが法に触れず所持することが出来る武器は、警棒ぐらいです(これも警備業法であらかじめ都道府県公安委員会に届けを出していないと違反になってしまうので気をつけないといけません)。

基本、日本では民間のボディガードはナイフを装備として携帯が出来ないので、ナイフについてもあまり意味がないので悩みましたが、海外でボディガードをしたいと思って読んでくださっているかもしれないので、ボディガードの視点からみたナイフ選びについて少しだけ書きたいと思います。

この記事は、決してナイフの所持を勧めるものではありません!私は法の専門家ではないので、詳しい銃刀法のことは分かりません。銃刀法について疑問がある方は、警視庁の生活環境課に銃砲刀剣類対策係があるようなので、そちらに問い合わせてみると良いと思います。

銃砲刀剣類所持等取締法については;生活環境課 銃砲刀剣類対策係
軽犯罪法について:地域指導課 捜査指導第2係
03-3581-4321 (警視庁代表)

ここからは、私が国連で警護をしていた際に色々な形状のナイフを装備として携帯してみて、どんなナイフがボディガードの装備として適していたかを書きたいと思います。

ナイフの形態は、「Folding Knife(フォールディングナイフ)」と「Fixed Blade(フィックスドブレード)」の2つに分類が出来ます。

Folding Knifeは、折り畳みのナイフです。折りたたむことで、小さくなるので持ち運びや携帯性に優れています。アメリカでは、小さなフォールディングナイフをズボンの前ポケットにさしている男性をよく見かけます。

Folding Knife
お気に入りのS&WのFolding Knife

Fixed Bladeは、折り畳み機構を持たず刃とハンドル部が1枚の鋼材で形成されているナイフで、携帯する場合にはシース(鞘)が必要になります。サイズにもよりますが、携帯性に関してはフォールディングナイフに比べて少し劣ります。

Fixed Blade
狩猟などに使われるベンチメイド社のFixed Bladeタイプのナイフ

何度も書いていますが、一流のボディガードは1秒でも反応を早めたいと常に思っています。フォールディングナイフは、使える状態にするためには、(1)まずポケットから出して、(2)それから刃を出す、という2段階のモーションが必要になります。フォールディングナイフの中には、カランビットナイフのようにポケットから出す際に爪をポケットにひっかけることにより、(ポケットから)ナイフが出た瞬間に刃が出ている状態にできるものもあります。しかし、うまく爪がひっかからなかった場合は、中途半端に刃が出た完全でない状態になってしまうこともあります。ボタン1つでポンと刃が出るオートマティックナイフ(Automatic Knife)/スウィッチブレード(Switchblade)なんて言うナイフもありますが、ナイフに対する法規制が日本に比べて緩いアメリカでさえ、一般人の携帯を禁止しているので今回は除外します。

カランビットナイフ
Fox社のカランビットナイフ

Fixed Bladeは、シースから出すだけなので、練度が低いハンドラーでもすばやくナイフを抜くことが出来ますし、カランビットナイフなどに比べて失敗をすることも少ないです。

以上のことから、ボディガードには、Fixed Knifeをオススメします。特にオハイオ州のTactical Defense Institute (TDI)のチーフインストラクターJohn Bennerが大手ナイフメーカーのKa-Bar社と共同で警察向けに開発したナイフは、ハンドルの部分が銃のグリップと似た感じに曲げられており、銃を抜く感じでナイフを瞬時に出すことが可能なので素人にも使いやすくオススメのナイフです。

TDIのチーフインストラクター John Benner氏によるTDIナイフの実用性の検証動画

Folding Knife vs. Fixed Bladeは、海外のLaw Enforcement (LE)の間では度々話題にあがるトピックです。もしあなたがナイフの達人で、フォールディングナイフを確実にFixed Blade以上のスピードで出すことが出来るのなら話は別ですが、そうでなければFixed Bladeを選択した方のが無難です。なお、Fixed Bladeはカイデックス製のシースで携帯をしてください。間違っても布製のシースで携帯をすることは避けるようにしてください。シースはナイフを出すスピードに大きな影響を与えます。

スピードではFixed Knifeに分がありますが、フォールディングナイフが全くダメというわけではありません。フォールディングナイフには、素晴らしいステルス性を持つものがあります。アメリカ軍にもナイフを提供するGerber社の小さなフォールディングナイフはその1つで、ジャンパーやバックなどのファスナーの引き手代わりにして携帯が可能です。

Gerber Knife
Gerber社製の超小型フォールディングナイフ
Gerber Knife
日本の銃刀法内の刃渡り6㎝よりも余裕で小さく、刃渡りは約2㎝弱。護身用としては期待できませんが、何かを切ったりは十分できます。

他にもブレードシェイプや鋼材の違いによるメリットとデメリットがありますが、そちらはまたの機会に書きたいと思います。

一流のボディガードになろうと思ったら、ナイフに限らず装備品にはこだわりを持ってほしいです。


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