ポジショニングでは、警護対象者(以下、Vという)とのディスタンス(距離)も重要です。
手を伸ばせば届く距離感が、PPOとVの距離感ではベストだと感じるPPOが多いです。私もVが特に希望をしない限りは、約70㎝(私の腕の長さ)ほどの距離にポジションを取ることが多かったです。
しかし、ディスタンスは色々な要素で変わります。
最初に思いつく要素にThreat Analysis and Risk Assessment(以下はTARAという)があります。Vに脅威やリスクがなければ、PPOとVのディスタンスをある程度とっても特に問題がありません。ただVによっては、驚異やリスクがなくても、安心の為にいつも近くにいて欲しいと希望する人もいます。
逆に脅威やリスクがとても高い場合には、Vが広いパーソナルスペースを好む場合でも、PPOとVのディスタンスは短くなります。
環境によってもディスタンスは変わります。脅威レベルが低いVであっても、ひとごみの中に入っていくような場合は、通常のディスタンスよりもさらに短いディスタンスを取ることが多いです。政治家が選挙に向けて、多くの市民が集まるところにみずから出向き、握手をして回る姿を想像してください。脅威は低くても、人が多く集まる場所では、ましてやVが著名人の場合にはアクシデントが起こりやすいです。相手にその気がなくても、押されて倒れてケガをして可能性もあります。
ほかにも、国もディスタンスを変える要素の1つです。世界でも有数な安全な国である日本では、PPOがVとのディスタンスを縮める要素はかなり少ないです。しかし、世界にはまだ内戦をしている国、犯罪率が非常に高い国もあります。こういった国で警護をする場合には、V自身の脅威やリスクが高くなくても、PPOはVとのディスタンスを狭める必要性があるかもしれません。
PPOは、そのつど、環境により適したディスタンスを判断する必要があります。
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