先日、民間警護をしている方と少し話す機会がありました。その方は、まだ実戦経験は少ないものの、某ボディガードスクールで2年間いろいろ学んでいました。
話をしていて気がついたことが一つありました。驚くことに警備会社でも、ボディガードスクールでもポジショニングの意味をきちんと教わっていなかったのです。
会社や機関によって呼び方は異なりますが、警護対象者(以下、「V」という)に最も近い位置で警護をするPersonal Protection Officer(以下、「PPO」という)のポジショニングについて書きたいと思います。
※「警護」は、2人以上のチームで行い、1人で行う際は「エスコート」と呼ばれ、その任務内容も警護とは異なります。ただエスコートも、今回のPPOのポジションニングを同じように使うことができます。
通常の状態で、Vの前に立つ、歩くことはあまりありません。※エスコートの場合は、「警護」よりも「便宜」を求められる為に先導として先頭を歩くことがよくあります。 警護はチームで行うので、PPOがわざわざ先導しなくても、通常は先導/誘導をする人がいます。(参照・写真下)
友達ではないので、Vの横もおかしいです。横についてしまうと、もう一方が空いてしまうので普通に考えて横にポジションを取ろうと思うPPOはいないと思います。
以上のことより、PPOの正しいポジションは、必然的にVの「うしろ」になります。ただ、「うしろ」といっても、「まうしろ」なのか、「右うしろ」なのか、「左うしろ」かが問題になります。
警備会社やボディガードスクールでは、Vの「右うしろ」に立つように教えているところが多いです。(参照・写真下)
しかし、私は通常、Vの「左うしろ」に立っていました。ではなぜ、右ではなく左だったのか? (参照・写真下)
答えは、私が左利きだったからなんです。
右利きの方が圧倒的に多い日本なら、「右うしろ」と教えていても納得ではありますが、きちんとなぜそのポジションを取るか説明はするべきです。
厳しい銃刀法で銃規制がしっかりしている日本では、民間警護が銃を携帯することは出来ません。こういった背景が、ポジショニングの原理を説明できない大きな要因なのかもしれません。
拳銃は、通常ストロングハンド/ドミナントハンド(利き手)側の腰に携帯します。左ききの私だったら、銃は左側に携帯します。
PPOの主な任務は、緊急事態の際にVの安全を護ることです。PPOはVとThreatの間に身体を入れThreatからVを護りながらEvacuation(避難)をします。その際、PPOは、Vに近いほうの腕でVをコントロール、もう一本の腕でThreatとの距離を保ちます。
銃を携帯するストロングハンド側をVに近くポジションを取ってしまうと、上記のPPOのアクションが難しくなります。(※詳細は近々、動画で説明したいと思っています)。
上記の理由からPPOは、利き手によりポジションを変え、左利きならVの「左うしろ」、右利きなら「右うしろ」にポジション取りをすることになります。
Vのまうしろに立てば、利き手に関係ないという意見もあります。しかし、まうしろに立ってしまうと、前方の視界と、来た方向へとVを反転させて逃げる際に問題があります。(※こちらも近々、動画で説明したいと思っています)。
PPOのポジションについていろいろ書きましたが、ボディガードのポジションに「絶対の決まり」はありません。状況に応じて、その環境に一番適したポジションがどこなのかを常に考える必要があります。
上の写真を見てください。右利きのPPOは、通常Vの「右うしろ」に立ちますが、右には壁、左はオープンエリアの場合は、右利きであってもVの「左うしろ」にポジションを取ることが最適だと考えます。
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