ボディガードの常識

「警護対象者(以下、「V」という)が最も襲われやすい場所はどこか」、この質問の答えはボディガードなら誰でも答えられるはずです。

答えは、「自宅」です。一時的にホテルなどに避難することは出来ますが、毎日違う場所に泊まることを一生続けることは不可能に近いはずです。

明確な「目的」を持った襲撃者もまた綿密な下調べをして、最も成功の確率が高い場所、そして時間を選びます。テロリストには、1年以上のサーベイランスをする者もいるぐらいです。

自宅が最も襲われやすい場所だと分かっている以上、ボディガードは自宅で襲われないようにする対策が必要になってきます。

少し前にYouTubeでモーニングルーティンの動画が人気でしたが、ボディガードはルーティンを避けなければなりません。

例えば、自宅に出入り口が2つ以上ある場合には、同じ出入口を毎回使うことを避けるべきです。毎朝サイコロを振って奇数だったら正面玄関、偶数だった裏口を選ぶといったようにルーティンにならないようにしている警護チームもあるようです。自宅に出入り口が1つしかない場合には、出入りの時間を変えることで襲撃者にパターンを読ませないようにする対応が必要になります。

決まったルートがあり、毎日同じ道を通り通勤/通学をしている人が多いと思います。しかし、ボディガードは、必ず3つ以上のルートを用意して、毎回違う道を選ぶようにしないといけません。これには襲撃者にターゲットを絞らせない目的以外にもボディガード自身の為でもあります。レーガン元大統領の警護を担当していた元シークレットサービスエージェントのジェリー・パー氏も著書「In the Secret Service -The True Story of the Man who saved President Reagan’s Life- 」で「『いつもと同じ』というものが、あらゆる警護官の敵である。」と言っています。いつもと同じだと、退屈になります。退屈になると、注意が散漫になり、警戒がおろそかになります。

以前ボディガードの仕事に映画やドラマのようなスリルは少ないと書きましたが、襲撃者との詰め将棋のような知恵比べをする楽しさはあります。


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