女性ボディガードの重要性

以前、仕事で行ったデンマークでは女性警護官がいないという話を聞いたことがあります。女性だからダメというわけではなく、まだ女性で警護の選抜試験に合格をするものが現れていないだけらしいです。

国連本部の警護チームには、女性警護官が数名在籍していましたがCPOC/R-CPOCをパスした人はいませんでした。

一般的に男性は女性に比べて筋力があり、体力もあります。女性は男性に比べて、上半身の筋力が44%、下半身の筋力が33%劣るという研究結果もあるようです。男女の体力の差は、オリンピックを見てもらえれば良く分かります。女子100m走の世界記録は、1988年にアメリカのフローレンス・ジョイナー選手がたたき出した10.49です。この記録は、男子同種目のオリンピック標準記録(10.05)にも及びません。

海外で警護をするとなると、体格が良いクライアントも当然多くなります。体重が100キロ近くあるクライアントだって少なくありません。もしそのクライアントが事故により意識を失ってしまったとします。ボディガードは、引きずってでも安全な場所に運ぶ必要があります。防弾チョッキを着て、腰には拳銃などの装備をつけた状態で100キロ近いクライアントを引きずるのは男性でもなかなか大変です。しかし、女性でも警護官になった以上、大きなクライアントを男性警護官同様に安全な場所まで引きずらないといけません。体力(特にボディガードに必要な筋力とスピード)で劣る女性がボディガードをする場合、男性以上の努力が必要になります。

ここまでだと女性にはボディガードは体力的に無理なのではと思ってします。確かに体格の良い男性クライアントに女性ボディガードをPersonal Protection Officer(以下、「PPO」という)として付けることは難しいです。しかし、クライアントが女性だったらどうでしょう?欧米だと女性でも100キロ近いクライアントなんてことも可能性的にはありますが、基本的にその確率は低くなります。クライアントを万が一の時に運ぶことに問題がないのなら、きっと女性クライアントもいつも身近にいるボディガードは女性の方が居心地も良いのではないでしょうか?

女性ボディガードには、女性にしかない強みもあります。男性ボディガードとは、その役割分担は異なるかもしれませんが、そこに優劣はありません。

「なぜ女性ボディガードが必要なのですか?」という問いに対して「クライアントが女性だった場合、女性しか入れない場所(トイレや更衣室等)に一緒に入れないためです。」という解答をする人が多いです。確かにこれは女性警護官が重要な理由の1つです。女性のクライアントには、女性ボディガードの方が心地よいと感じる人が多く、また小さな子供も同じように女性ボディガードにより安心感を得る傾向にあるようです。(※クライアントは、必ず大人だとは限りません。クライアントの要望により、クライアントの家族を護ることはよくあります)。

随分前からロープロファイル、つまり環境にブレンドインしている(目立たない)ボディガードを望むクライアントが多くなっています。女性は、このブレンドイン関して男性よりアドバンテージを持っています。女性がボディガードをしているはずがないという偏見から、女性ボディガードはクライアントの家族や秘書なんかに間違えられることがあります。これはロープロファイルで考えれば、とてもプラスのことです。他にもイスラム教の国では、ブルカを着てしまえば、ボディガードが誰なのか判断するのはとても難しいです。

Burka 女性イスラム教徒
Burka(ブルカ)を着用するイスラム教徒の女性

他にも女性は、ソフトスキルとソーシャルスキルが男性よりも長けています。ボディガードにとても大事な「Diplomacy」においても女性はとても優れており、難しい状況でも人を不快に思わせない丁寧な言葉遣いと人情がある会話で場を和ませ問題解決へと導くことが出来ます。これらは、知識や技術と同等のレベルで身につけられるものではありません。ただ女性だから、体力が劣るからという理由だけで女性に警護をさせないことは、警護業界にとってマイナスでしかありません。

女性警護官が今後活躍するには、まだ色々な課題があるのが現状です。子供がいる女性は、男性と比べて、仕事のために子供や家族と離れることが難しい傾向にあります。アメリカでも以前は、女性が家に残り家族を守るべきという社会的風潮がありました。しかし、湾岸戦争あたりからその風潮に変化があり、女性兵士が戦場へと赴き、男性が家に残って家を守ることも珍しくなくなってきています。

残念ながら日本はジェンダーギャップにおいて先進国の中でも最下位になっています。世界的にみてもまだまだ男性社会の警護業界において女性が活躍する場を作るには、女性警護官の重要性をよく理解した新しいリーダーの存在が必要となります。

FJPSでは、女性に特化した警護訓練、CCPSWを用意しています。女性で、国際レベルで警護をしてみたいという方からの連絡をお待ちしております。


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