レストラン・サーベイ

レストラン・サーベイとは、クライアントが行くことになっているレストランにアドバンス(先着警護)が事前に訪れて下調べをすることです。レストランといっても、(1)店を貸し切り、店内には招待客のみという場合と、(2)普通に他のお客もいる通常営業時間に行くかで調べることは異なります。ホテルの場合には、予約段階でホテル側に名前や連絡先を求められ、チェックインではパスポートなど身分証明証の提示を求められることもあるため、宿泊客の身元をチェックするのはそれほど難しいことではありません。しかし、レストランの場合、特に(2)の通常営業時間帯に行く場合は店内にどんな客がいるか分からないので、アドバンスは万が一の際のコンティンジェンシープラン(緊急時対応計画)をしっかり練っておく必要があります。

レストラン・サーベイをする場合には、まずはホテルのアドバンスの際と同様に予約日、予約時間、予約者の名前、何名で予約しているのかを確認しておく必要があります。ちなみに前職の国連本部では、レストランの予約などは秘書の名前で取るようになっていました。それを知らずにレストランに行ってしまったら、予約を確認するこが出来ずに恥をかくことになります。

レストランに到着したら、出来るだけマネージャーレベルの責任者と連絡を取ることをオススメします。これは情報が洩れるのを最小限に抑える目的と、通常の店員の場合シフトチェンジなどでクライアントが訪れるまでいるとは限らないのでコミュニケーションのミスが起こることを避ける目的があります。

責任者とコンタクトが取れたら、避難口を含む全ての出入り口、入口から席までの導線、トイレの場所、クライアントが喫煙者の場合には最寄りの喫煙場所、最寄りの病院、警察署、消防署の住所と連絡先を確認します。

リスクは、クライアント自身のみでなく他のVIPによりもたらされる場合もあるため、他のVIPが訪れる予定、席数と予約状況、イベントの有無などの確認も忘れてはいけません。高級レストランではドレスコードがある場合もあるので、アドバンスの段階で調べておき、クライアントと一緒に来るチームメイトに最適な服装をアドバイスするようにします。

クライアントの席は、クライアントが著名人の場合には個室が警護をする上では好ましいのですが、個室がないレストランなどもあるのでその際は窓から離れた席で、人の流れが多くない場所を選ぶと良いでしょう。

レストランなどでボディガードが店内に立って待っていては、それだけで目立ってしまいます。レストランなどでは出来るだけボディガードも出入口の状況が確認でき、クライアントの席も見える席を予約しておくことが好ましいです。レストランも商売ですので、何もオーダーせずにボディガードの仕事だからと威張って席を取ることはマナー違反です。とにかく時間がかからないで出来る料理を事前に聞いておき、席についたらすぐにそれをオーダーして支払いも先に済ませおきます。日本のSPは、勤務中に公共の場で食事をすることに抵抗を持っている人が多くいますが、レストランでは何も食べずに席に座っている方が怪しく、そして目立つしてしまいます。当然のことですが、食べることばかりに一生懸命になってしまい、クライアントの動向や周りに注意を払うことが出来なくなってはいけません。

ハイリスクのクライアントや、食事に毒物混入などの過去があるクライアントの場合には、アドバンスはキッチン内のチェックも考えなければいけません。前職では、レストラン側の好意でキッチン内のチェックをさせてもらっていましたが、キッチン内にも警護の人間を配置するといった対応はしていませんでした。料理中に毒物などの混入をすることを防ぐためにキッチン内に警護官を料理人の監視目的で配置させているチームも世の中には存在します。

レストランとは関係ありませんが、前職には、過去にフィリピン大統領の警護チームに「Food Taster(毒見役)」として配属されていた経験を持つ人がいました。日本では、「毒見役」なんて歴史の授業で聞いたことがあるだけで、現実に、しかも現代でもまだこんな仕事があることを知る人は少ないと思います。おそらく民間のボディガードに、ここまで求めるクライアントはいないと思いますが、世の中には食べ物への毒物混入のリスクがある警護対象者がいることは頭の中に入れておかなければなりません。

キューバのラウール・カストロがニューヨークの国連本部に来た際も、警護官が水とコップを持っていて、こちらが出した水やグラスには一切手をつけずにいたのもとても印象的でした。


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