テクノロジーの進歩でボディガードの仕事も随分楽になりました。テクノロジーは、ボディガードの仕事に、とても大きな変化をもたらしました。その最たる例は、おそらくGoogle Map/EarthやWazeなどのナビゲーションシステム(以下、「ナビ」という)です。今まで行ったことがない場所でも事前に写真でどんな建物なのか確認が出来てしまいます。行き先、曜日、時間を入れれば、渋滞の状況、到着までの時間まですぐに分かります。今やこうしたナビを利用していないボディガードはいないでしょう。十数年前までは、紙のマップを広げルートを選んでいたのですから随分便利になりました。ただどんなに便利になっても、ボディガードは必ず自分の目で確かめないといけません。
民間の警備会社の警護は、先遣隊がいないことも多く、いてもルートの確認はせずに現地入りをして待つというところが多いようです。警護対象者(以下、「V」という)に同行するボディガードと運転手は、ナビの情報を頼りに現地まで行くそうです。ナビは、交通渋滞などの交通情報を知らせ、目的地に最短で着くルートを見つけ出してくれます。しかし、残念ながらチョークポイント(危険な場所、襲撃を受けやすい場所)等を知らせてはくれるナビはまだありません。先遣隊は、事前に①プライマリー、②セカンダリー、③エマージェンシーの3ルートを車で実際に走ってみてチョークポイントやチェックポイントの確認をします。そして当日、再びVが出発する少し前に出発してルートの最終確認をします。事前の調査では問題がなかった道が、当日になり急に工事やデモンストレーションなどで封鎖されてしまうこともあるため、このような対処をとっています。国連本部の警護チームでは、運転手は勿論のことチーム全員が先遣隊の確認をしたルートを暗記します。そして本番はナビを使わずに現地まで行きます。ナビは、とても便利なものですが、同じナビを使っていても必ずしも同じルートを提示してくれるとは限りません。ナビ任せに運転をしてしまうと、せっかく先遣隊が安全の確認を済ませた道ではない道へと導かれてしまう可能性があるためです。
アメリカで長くボディガードの指導しているRobert L. Oatman氏も彼が提唱するボディガードの6つの基本(the six principles)の中で「Rely on brains, not on technology」と言っています。分からない人の為に訳すと「テクノロジーに頼り過ぎず、自分の経験や知識を信じろ!」と言っています。
どんどん進化していくテクノロジーを無視することはできません。テクノロジーは、我々の仕事をどんどん簡単なものとさせてくれますが、最終的には人間がこれまでの経験等から得た知識や技術が大事になります。そのことを肝に銘じ、新人ボディガードは、己の感覚を研ぎ澄まさないとなりません。
今回はナビを取り上げましたが、他にもボディガードの仕事に大きな変化をもたらしたテクノロジーは少なくありません。
今や持っていない人を探すのが大変なスマートフォン/携帯電話もその1つです。携帯電話は、ナビよりも取り扱いに気をつけないといけません。王族や国家元首に会ったりする際によくあるのですが、ジャミング(通信妨害)をされて全然使えないなんてこともよくあります。携帯電話を信じ切って、コミュニケーションを携帯電話でしかする術がないとなると、とても大変なことになります。
FJPSでは、テクノロジーに頼らないアナログなテクニックを使ってのシナリオトレーニング等も用意しております。興味がある方は、ぜひFJPSのセミナーやCCPS/CCPSWを受けて頂けると幸いです。
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