ボディガードの常識(車列における車間距離)

「ボディガードの車選び」について書いたので、民間警護ではなかなか車列を組んで走る機会はありませんが、車列の際の車間距離についても書いておきたいと思います。

車間距離のことを学ぶ前に知っておくべきことがあります。それは日本と欧米では指導法が少々異なることです。生真面目な人が多い日本では、「車列においての車間距離は○○㎝です」なんて教えているところが多いようです。それに対して欧米では、「車列においての車間距離は、“だいたい”前の車の後輪と道路の接地面がギリギリ見えるぐらいの距離です」と教えるところが多いです。文化の違いなので、どちらが正しいということはありません。

しかし、私は個人的に欧米のボディガードの指導でよく使われる“だいたい”という表現をとても気に入っています。なぜなら、なんども繰り返し書いていますが、ボディガードの世界に「絶対」はないからです。運転に関しても同じで、同じ道を運転するのでも時間帯や曜日、その日の天候、ドライバーの技量などにより車間距離も変わります。

初めてチームを組む仲間と車列を組むことが大変なのは、前を運転するドライバーの技量が分からないからです。国連本部の警護官は、皆Evasive Drivingのコースを受講して最低限の運転技術があります。しかし、運転歴やもともとのセンスは十人十色なので技量に差がありました。国連本部でも通常はオフィス勤務で警護はバックアップ要員の同僚が稀に運転をすることがありましたが、その時には少し車間距離を伸ばして運転していました。この同僚にはブレーキを多用する癖があり、他の人が踏まないような場所でブレーキを踏むためです。チーム内では、幽霊でも見えているのではないかと冗談まで言われていました。ニューヨークには、明らかに警護車両だと分かる車列でも赤色灯を焚いていないと、車列の中に入りこんでくるドライバーが驚くほど多いのです。そのため、ニューヨークのような街では、車間距離を広く空けることはあまり推奨されません。しかし、リスクを考えた際、チーム内で衝突事故を起こしてしまうよりはまだ良いと、彼が運転する際はチーム内の暗黙のルールで車間距離を通常よりも伸ばしていました。

このように車列における車間距離は、運転に影響する要素全てから判断して最適な車間距離を選ぶことが大切です。

弊社のCCPS/CCPSWでは、車列の車間距離についても更に詳しく教えていますので、興味がある方は、ぜひ受講してみてください。


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