ボディガードのBullshido

先日テレビを見ていると、民間警護の第一人者だという方がゲストとして主演されていました。その方は、すぐに使えるボディガードの技として、鼻を押し上げる技(?)やナイフを持つ相手にベルトを使った撃退法などを紹介されていました。

私はNHKのテレビ番組「奇跡のレッスン」が大好きです。元ラグビー日本代表監督エディ―・ジョーンズ氏の回は本当に神回でした。その番組で、エディー氏は、「リアリティ(現実味)がない練習には意味がない」とハッキリ言っています。それまでワールドカップで全然勝てなかった日本代表に、強豪・南アフリカを破るまでの実力をつけさせた分析力は確かです。

テレビの演出上しかたがない部分もあるんでしょうが、プロのボディガードは「簡単に○○すれば敵を撃退できます!」「○○さえ覚えれば、すぐにでも敵を撃退できます!」と言うべきでないと私は思っています。なぜなら、そこにはリアリティがないからです。ナイフを持つ相手にベルトを使って撃退する方法を実演していましたが、ナイフを持つ敵がベルトをズボンから抜いて準備が整うのを待っていました。人を刺す気でいる人間に、こんな親切な人はまずいません。ベルトを抜こうとベルトに手をかけた時点で刺されています。

国連には、CPOC/R-CPOCという訓練があり、この訓練に合格して初めて警護班のチームリーダーをすることが出来るようになります。ハイリスクエリアでの警護任務も、CPOC/R-CPOCの合格者である必要があります。CPOC/R-CPOCについては、またの機会に詳しく書こうと思っていますが、CPOC/R-CPOCの訓練はリアリスティックを追求した訓練となっています。CPOC/R-CPOCでは、訓練期間中に色々な格闘テクニックを学びます。しかし、最終日に行われる「サバイバル・テクニック」という試験で、習った格闘テクニックはほぼ役に立ちません。

サバイバル・テクニックは、その言葉の通り「生き残る技術」のテストなんです。ボディガードは、己の命をかけてでもクライアントを護ります。しかし、敵は常に1人だとは限りません。なのでボディガードは、しぶとく生き残る術を知らないといけないのです。

相手との間にかなりの体格や力の差があった場合、よほどの達人でないかぎり武道や格闘技のテクニックは使えませんし、効きません。武道や格闘技の達人であっても、突然襲われたら、きちんと対応できるか怪しいところだと私は思っています。現実で使えない付け焼刃の護身術を学ぶより、人間が本能的に自分の命を守ろうとするときに出る攻撃を恐怖に負けず繰り出せるようにすることが重要だと思っています。人間が本能的に命を守るための攻撃とは急所への攻撃です。つまり、金的を蹴ったり、目に指を突っ込んだり、噛みついたりといった攻撃です。

サバイバル・タクティックスでは、いつ、どこで、何人組のどんな人に襲われるか分からない状態で始まります。敵役には、レッドマントレーニングギアという防具を着せているので、襲われる側は何をしてもかまいません。敵役の中には、当たると電気が流れるエレクトロニック・ナイフと呼ばれるナイフを持って襲ってくるものもいます。これをとにかく捌いていくのです。リアリティを追求したサバイバル・タクティックスといえど、現実はこれよりもさらに厳しいと思います。しかし、サバイバル・タクティックスを経験した人たちは、何が通用して、何が通用しないかを身をもって理解することが出来るのです。

SNS上に「Bullshit(たわごと、でたらめ)※汚い言葉なので、使わないでください」と「武士道」にかけて「Bullshido」という造語があります。YouTubeで「Bullshido」で検索して頂ければ、数多く動画が出てきます。その動画を見て頂ければ、分かると思いますが、世の中には現実では使えない武道や格闘技もどきが多く存在します。

何が言いたいかといいますと、素人がちょっと習っただけで使える護身術なんていうものは存在しないということです。素人は、危険のシチュエーションに直面したら、とにかく逃げてくださいとしか言えません。

一流のボディガードを目指す方は、クライアントの安全を護るために己の安全も守る必要があります。そのためには、なにが本当に必要なのかよく考えるべきです。

FJ Protection ServiceのCCPSコースでは、国連でも採用されている、相手を制するためではなく、とにかく相手との距離を取るための技術Spearsを教えています。そして希望者がいれば、サバイバル・タクティックスも提供いたします。

※勘違いをしてほしくないのですが、決して武道や格闘技を批判しているわけではありません。私自身も、これまで複数の武道を習ってきました。その経験から、身体の強化と精神鍛錬につながる素晴らしいものだと思っています。

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合気会合気道を習っていたころの私
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ニューヨークで極真空手(松井派)を習っていたころの私

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