英国の警備業関連の免許を管理する団体Security Industry Authority (SIA)が、2021年9月に警備従事者向けに「Action Counters Terrorism(カウンターテロリズム)」のオンラインクラスを無料で提供し始めました。こちらのコースは、件名に「PIN request for ACT e-learning」と入力し、CTcode@sia.gov.uk 宛てにEメールを送ると自動ですぐピンとコースのリンク先が記載されたEメールが届くので、そちらから受講を開始することが出来ます。
上記のピンでアクセスできるコースは、Act Awareness E-LearningとACT Securityの2つです。SIAは、カウンターテロリズムの一般常識を学ぶAct Awareness E-Learningから始めることを推奨しています。
どちらのコースも全てのモジュールを完了するには約1時間15分ほどかかりますが、コースの途中でセーブをすることも出来るので、一度に全てを完了させる必要はありません。ただし、こちらのコース、一時停止は出来ますがオンラインラインコースによくある早送りが出来ないようになっています。早送りが出来ないと、ただ聞いているだけのオンラインコースは途中で飽きがちですが、途中ロールプレイングゲームのようにゲーム感覚で操作するパートもあるので意外と飽きずに最後まで一気に進むことが出来ます。
日本では警備業法15条で、「特別に権限を与えられているものでないことに留意するとともに、他人の権利及び自由を侵害し、又は個人若しくは団体の正当な活動に干渉してはならない」とあるので怪しい行動をする者や不審物を見つけてもそれに対してアプローチすることを躊躇う警備員がかなりの数います。しかし、実際のところはアプローチの仕方次第です。不審者や不審物をすぐに悪と決めつけ、攻撃的な態度で接してしまうと問題になります。しかし、ACTの中では「Power of Hello」という言葉を使っていますが、カスタマーサービスの一貫として「どうされましたか?」、「何かお探しですか?」といったようにアプローチすれば、警備業法的にも問題はありませんし、それでいて犯罪の抑止としてもかなりの効果があります。ACTでは、そうした簡単なアプローチ方法も学ぶことが出来ます。
特に最後にテストがあるわけではなく、各モジュールの最後に数問簡単なクイズが出題されるだけなので、誰でも簡単にコースを完了することが出来ます。そんな簡単なコースではありますが、どちらのコースもコース終了後に修了証がダウンロードできます。SIA自体は、しっかりとした団体なので、履歴書に他に何も書くことがないまだ駆け出しの警備従事者なら(英国以外での就職の際には)履歴書にこちらのコースを修了したことを追加してもよいかもしれません。
コースは、本来英国の警備従事者を対象に作られたものなので英語のみで受講が可能です。ただそこまで難しい言葉も使われていませんし、話すスピードもかなり遅いので英語が苦手な方でも頑張ればどうにでもなるレベルです。
SIAは、警備従事者対象のコースと謳っていますが、かなり基本的な情報ですし、警備従事者以外の方も知っておいて損はない情報なので、留学や仕事で海外に行かれる方は、ACT Awarenessだけでも受講しておくとどこかで役立つかもしれません。またコースでは日本だとあまり縁がない銃器を使ったテロやIEDを利用したテロも当然ながら扱われているため、「私は海外には行かないから関係ない」と思う方もいると思います。しかし、日本でもナイフ、車、火器を使ったテロは実際に起きているので、危機管理意識を高めるためにもぜひ受講してみてください。
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