警備員指導教育責任者講習教本について

先日Twitter上で、東京都警備業協会から取り寄せた書籍2冊「警備員指導教育責任者講習教本II 実務編 4号業務」と「身辺警備業務の手引」の内容について批判的なコメントを書きました。しかし、140文字という制限の中では、その本意を伝えきれないため、今回はそのことについて少し書くことにしました。

上記の2冊の中で紹介されている技術やタームについて、賛同できない部分がかなりあったことは事実です。

警備員指導教育責任者講習教本II 実務編 4号教務の38ページの警備車両乗車時の訓練の中に「ドアを閉める際、風圧を和らげるため助手席の窓を少し開けておく」とあります。警備車両がソフトスキンなら特に問題はありませんが、防弾車であればわざわざシール(封)を解く(窓を開けるという)行為に何のメリットがあるのか私には理解できません。以前、Robert L. Oatman氏のボディガードの基本6カ条を紹介しましたが、これはまさにその5条であるSecurity vs. Convenienceです。クライアントの多くは、セキュリティよりも自分の自由だったり、利便性を優先しがちです。しっかりと実務経験を積んだ各警護員が、クライアントの脅威レベルや好みを考慮したうえ下した判断であれば、特に文句も問題もありません。しかし、これからの4号警備に就く人を指導するテキストで、ConvenienceをSecurityより重視した技術解説には到底納得できません。

同ページの警備車両降車時の訓練(身辺警備員1名の場合)の警備員のポジショニングにしても、ドアとドアの間に立てば自らの行動範囲を制限することになると考えられないのでしょうか。エスコート(身辺警備員1名)にしても、もっと理にかなったポジショニングがあります。これは、セミナーやCCPS/CCPSWで詳しくお伝えしようと思っていますので、興味がある方はぜひセミナーやコースの受講をお願いします。

写真引用: 警備員指導教育責任者講習教本II 実務編 4号教務 (全国警備業協会) P.38

また、用語に違和感を覚えた例としては、同書44ページの「スポーツ・ビジョン」です。英語でも「Sports Vision」という言葉はありますが、警護業界ではあまり使われません。むしろ、警護に必要な能力の1つとしては「Peripheral Vision(ペリフェラル・ビジョン)」がよく挙げられています。

書き出したらキリがないので、問題提示はここまでにします。海外で警備業界に携わると、よく「Reasonably believes …. if necessary」、「Justifiable」という表現を耳にします。訳すと「正当な理由があり、必要であれば」ということです。つまり、海外では警備員側の視点に立って技術の指導はしますが、現場に出たらある程度各自の判断に委ねているのです。

身辺警護は、他の警備業務に比べて、よりフレキシブルさが求めれます。だからこそ、教科書では、警護をする側に立って任務遂行に必要な知識と技術をしっかりとカバーしてもらいたいと思っています。クライアントの要望に対応するため何かを妥協するにしても、そういった知識がなければプロとして正しい判断ができません。


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