コンサートやお祭りなどで使われる、パキッと折ると化学反応で一定時間暗闇の中で輝く棒は、ケミカルライト、サイリューム、グロースティック、イルミネーションマーカーなどいくつかの異なる呼び方があり、メーカーによって光量や持続時間が異なりますが、どれも基本は同じものです。
必ず持っておかなければならない道具ではありませんが、前職の国連本部の警護チームでは米軍などでも使われるサイリューム社のChemlightが支給され、携帯していました。ケミカルライトには色々な便利な使用法があり、元グリーンベレーのRobert Scali氏も著書の「Close Protection Training Manual」の中で警護チームは皆最低でも2本以上のケミカルライトを携帯することを推奨しています。
停電の際に、そのまま明かりとして使用したり、防水なので水が入ったペットボトルなどの中に入れランタンのように使用したり、防災グッズ的な使用法は、日本でも広く知られています。ダクトテープなどで光面の量を調節すれば、ちょっとしたライトとしても利用が出来ます。ボディガードも同様に停電などの際に明かり替わりに使うこともありますし、少し変わった(?)使用法としては、内容液を壁や床の表面に飛ばしてルートや位置をマークする「道しるべ」的な使用をする場合もあります。前述の使用法の場合には、株式会社ルミカ社から販売されている発光ジェルスプレー「サイリュームペイント」の方が使い勝手が良さそうですが、残念ながら携帯性に優れていないことと、利用法の幅が狭まってしまうので、やはりスティックタイプがボディガードの業務には向いているように感じます。ただし、ケミカルライトの主成分であるフタル酸エステルは、肌などにつくと刺激があるのですぐに水で洗い流すようにしてください。
ケミカルライトを入れる特別なケースもたくさん売られており、中には紐が付いていて、遭難時に空からの捜索に向けぐるぐる回すことで居場所を伝えるSOSシグナルケースなるものもあります。※Chemlightを始め、ケミカルライトの多くは端がフック型になっており、紐で結べるようになっています。特別なケースがなくても、靴紐などを結び付け振り回すことで同様の効果を得ることが出来ます。
残念ながら実際に購入したことがないので、光量や持続時間などの詳細は分かりませんが、日本ではディスカウントストアや100均でも安価に購入が可能です。電池いらず、防水、無毒(国民生活センターのレポートによれば、故意に接種しないかぎり、経口摂取によって急性中毒症状を呈することは少ないということです)、不燃焼のケミカルライトは優秀な防災グッズとして近年注目を浴びています。ボディガードでなくても、万が一に備え自宅や職場に貯蓄しておくと役に立つかもしれません。
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