日本の資格⑥防火・防災管理者講習

2022年10月25日、26日の2日間に渡り、東京消防庁消防技術試験講習場防火・防災管理者講習を受講してきました。施設の収容人数や面積によって防火管理者の選任が法的に義務付けられているので、同資格を所持されている方は少なくないと思います。筆者は2022年10月現在、当業務と兼任でAsset Protection Managerとして勤める施設(非特定防火対象物、500㎡以下) の従業員が50人を超えた為に防火管理者の選任が必要になり受講してきました。※本来は1日の講習で済む乙種で十分なのですが、どうせならと甲種の防火管理者を受講することに決めました。防火・防災管理者の資格は、(明確には再講習の受講が必要な場合もありますが) 基本は期限がないので1度取得すれば一生有効なのでこれから受講を考えられている方はどんな施設でもカバーできる甲種を受講することをオススメします。因みに防火・防災管理者は比較持っていると役立つ国家資格にも関わらず受講費はテキスト代などの5500円のみとかなり良心的です。

今回のコースは、約200人の受講者がいたのですが、おそらくそのほとんどが筆者と同様に必要に迫られての受講や、会社から言われて仕方なくの受講、防火や防災に本当に興味や関心があって受講している方は僅かだったように感じました。というのも2日間の受講中、居眠りをしている人があまりにも多かったからです。

初日は、午前9時に始まり、午前中に2コマ、昼食休憩をはさみ、午後3コマと言うスケジュールだったのですが、そのうち実技は消防用設備等の操作要領の1時間10分のみでした。実技と言っても、インストラクターが一方的に設備を操作して見せるだけで受講者はそれをただ見ているだけでした。それでも著者は、4ヶ月という短期間ではあったものの、防災センターで勤務した経験があるにも関わらず、「自火報」の短縮形でお馴染み(?)の自動火災報知設備の発信機のリセットボタンの場所をこの講義で初めて知り、1号消火栓と2号消火栓では操作方法が微妙に異なることも知ることが出来たので得るものがあったのも事実です。

(写真)発信機のリセットボタンはここ(↑)
(写真)筆者の職場にある2号消火栓は、一人で操作が可能!

2日目も、初日同様に午前9時に開始され、午前に2コマ、昼食をはさんで午後3コマというスケジュールでした。この日の実技は、三角巾の使い方を20分程度したのみで残りは全てインストラクターがテキストを読み進めるだけの正直退屈な授業でした。

国家試験であるにも関わらず、「誰でも取れる」と言われる防火・防災管理者の資格は、一応2日間の最後に「効果測定」と呼ばれるテストがあるのですが、20問の正誤問題を20分以内に解くのですが、正直どの問題も2日間の講習を受けていなくても、8割方一般常識で解ける内容でした。しかも、この試験には合格点も発表されていません。一応最低ラインに達しなかった受講者には補講という話はありましたが、結果は全員合格でした。

受講者全員が必ず効果測定をパス出来るようにすることがインストラクターの最大任務のようで、「本日のポイントです。試験に出ますので線を引いてください」と試験に出るところを教科書からひろっていく形式なのが退屈な授業の最大の理由だと思います。

アメリカと比べると、「そんなにアメリカが良いならアメリカに戻ればいいじゃないか」、「日本には日本のやり方があるんだ!」と言われてしまうかもしれませんが、筆者がアメリカで受けてきたコースの多くは、受講者を巻き込むスタイルのものでした。インストラクターも、全員を合格させることが目的の日本とは明らかに違い、受講者にしっかりと知識や技術を取得してもらうため、興味を引くような工夫を凝らします。その為、日本の場合には誰がインストラクターでも全く同じ内容でコースを行うことが可能ですが、アメリカの場合には、同じコースでもインストラクターによって全然雰囲気が違うものとなります。

防火・防災管理者講習のテキストは素晴らしいですし、扱う内容自体もとても興味深いので、形だけの無意味なコースではなく、もっと面白いコースにしてほしいと願います。試験も危険物取扱者などと同様、本当に知識がないものは不合格になるレベルにした方が良いのではないかというのが今回受講した感想です。


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