皆さんは自動車に「チャイルド・ロック」という機能が備わっているのをご存じでしょうか。著者は、日本の自動車教習所に通ったことがないので、教習所でその機能について指導しているのかは定かではありませんが、使う人は使う機能なのできっと指導していると思います。ただ、自動車を運転する上で必ず使わないといけない機能ではないので、使わない人はずっと使うことがなく、その為そうした機能があることを忘れてしまっている方もいるかもしれません。
トヨタでは、「チャイルド・プロテクター」、ホンダとスバルでは、「チャイルド・プルーフ」、日産では、「チャイルド・セーフティドアロック」、三菱では「チャイルド・プロテクション」、そして警護車両としてよく利用されるメルセデス・ベンツでは、「チャイルド・プルーフ・ロック」とメーカーにより呼び方は異なりますが、こられを総じて「チャイルド・ロック」と呼んでいます。自動車の後部ドアを開けるとドアの断面にレバーがあり、そのレバーを切り替えることで車内からドアを勝手に開けることが出来なくなる機能です。本来の目的は、その名の通り、後部座席に座る小さなお子さんが走行中などにドアを開けてしまい大きな事故になること避ける為の機能です。
そのチャイルド・ロックは、意外にも警護のフィールドでも利用されることがあります。警護対象者にはせっかちな性格な人もいます。そうした警護対象者は、警護がドアを開けるまで自分で中からドアを開けないように伝えていても、自動車が目的地に着き、出迎えなどが見えると、ついついドアを開けてしまう人もいます。そのため、そのような対象者の場合には、チャイルド・ロックをオンにして車内から勝手に開けれなくする処置を施すことがあります。(このような対象者の場合には、窓も同様にウィンドウ・ロックをかけ後部座席から勝手に窓を開けられなくしておきます。)ただし、チャイルド・ロックをかけることで、万が一事故に遭った場合に車内から自身で避難することが出来なくなってしまうため、チャイルド・ロックの使用を支持しない警護官がいることも忘れてはいけません。
警護には直接の関係はありませんが、警備・警護に従事する者はこのチャイルド・ロックが近年、犯罪に利用されることがあることも知っておくべきでしょう。残念ながら日本では定着することがなかったUberのサービスですが、アメリカのように従来のタクシーサービスよりも比較的安く利用できることからUberやLyftといったライドシェアサービスを利用する人が多い傾向にある国も多くあります。しかし、少々高くついても従来のタクシーサービスを利用する人たちはUberやLyftのようなサービスの安全性を指摘します。というのもUberやLyftの運転手になる為のガイドラインが驚くほど低いからです。Uberのページによれば、Uberのドライバーになる条件は、運転が出来る年齢にあり運転免許を所持、1年以上の運転歴(25歳以下の場合には3年以上)、そして4ドアの車を持っていることだけなんです。著者もアメリカに住んでいる頃や訓練でルーマニアに1か月滞在した際にUberをよく利用していましたが、正直ドライバーの中には大丈夫かなと不安になる人がいたのも確かです。
本題がずれましたが、そのUberやLyftといったライドシェアサービスのドライバーが後部座席のチャイルドロックをオンにして客を乗せ、客が車外に逃げられない状況にして暴行におよぶ事件が起きているようです。アウディなど運転席から操作が出来るチャイルド・ロックを装備した車両もあるようですが、Uber等のライドシェアサービス、そしてタクシーなど素性がよく分からない相手の車に乗車する際には、念の為に乗車する際にチャイルド・ロックがかけられていないことを確認することで万が一を回避することが出来るかもしれません。実は著者にも1度だけ対象者が予定外のスケジュールを突然入れ、警護車両が間に合わなかったという経験があります。結果としては対象者の脅威が低く、現地での認知度もそれほどではなかったのでタクシーを利用しました。もちろん、事前の身元調査なしの運転手の車に乗ることは出来れば避けるべきです。しかし、時にそれ以外の選択肢がない時に、こうしたチャイルド・ロックを悪用した事件があることを知っているだけで最悪な事態を避けることが出来る場合もあります。
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