以前書いたSituational Awarenessの続きというか追加として、ボディガードが不審者を特定するために注意して観察すべき行動についもう少し紹介したいと思います。以前の記事をまだ読まれていない方は、先にSituational Awareness/Body Languageを読んでからこちらの記事に戻ってきて読んでもらえるとより理解が深まると思います。
(↑)ボディガードによるSituational Awarenessに興味がある方は、映画「バンテージ・ポイント(2008)」をぜひ観て欲しいです。
ボディガードもクライアントを護ることに命をかけていますが、それは襲撃する側も同じで人生をかけていますから、真剣ですし神経質になっていても不思議ではありません。そうした普通じゃない精神状態では、無意識のうちにブツブツ何かをつぶやいていたり、祈ったりしてしまっている場合が結構あります。他にも決心がつかず建物に出たり入ったりを繰り返すような行動にも要注意です。
以前の記事にも書いていますが、季節に合っていない服装、つまり夏に厚手の冬用コートを着ていたら何かがおかしいと誰でもすぐに気が着くと思います。この他にも服装だと、明らかに身体のサイズに合っていない大きくダボダボな服を着ている人も注意しておいた方がよいでしょう。何か服の中に武器を隠して持っているかもしれません。ズボンのウエストや裾を不自然に何度も気にしたり直したり、確かめるような行為も、隠し持っている武器の重みなどが原因でズボンがずり落ちてくるのが原因だったり、武器が見えてしまっているのではと不安になったり、きちんと武器がそこにあるかを確かめていたりしている可能性が考えられます。自爆テロ犯の場合には、身体に巻き付けた爆弾ベストやベルトの存在を確認する為に何度も自身の身体を軽くポンポンと叩いたりする場合があります。イスラム教徒の自爆テロ犯には、実行前に身を清めるために髭などの体毛を綺麗に剃り落とすことが多い傾向にあるようです。そうした行為により肌が一部だけ日焼けをしておらず白く目立つ人物にも注意が必要です。このように、ボディガードはBehavior Science(行動学)を活用し、過去の統計などから傾向やパターンを割り出すことで、自爆テロの実行犯など不審者を特定し、より迅速な対応が可能となりま。
不審者を発見したボディガードには、3つの選択肢があります。最初の選択は、何もしないです。ただし、この選択肢を選ぶようでは、ボディガードは諦めた方が良いでしょう。少しでも怪しいと思う人物を発見した場合、ボディガードには残りの2つの選択肢のどちらか、もしくはその両方を行動に移す必要があります。2つ目の選択肢は、緊急時の対応をすべきか調査、そして最後の選択肢はすぐに緊急時の対応です。調査として怪しい人物にアプローチする際には以前紹介したタクティカル8やタクティカル5のコミュニケーション術を思い出し上手に利用します。ただこちらの身元を素直に相手に伝えると、相手が早まった行動に出るリスクもあるあります。その場合には臨機応変にアプローチします。完全に黒か白か判断するまで待っていては手遅れになってしまうケースもあります。そうした場合ボディガードは、経験から得た勘を頼りに、黒だと確認できる前に危険と判断してすぐにクライアントをその場から避難させるなどの対応を取らなければなりません。その後何も起きなければ、クライアントからは「大げさだ!」と非難を浴びるでしょう。そのため、判断に慎重になりがちですが、First Instinct(直観)は大抵当たっているものです。十分な経験がない間は、不審者らしき人物を発見した際には、重分な経験があり、警護面の最終決断を任せられるチームリーダーにすぐに報告するようにしてください。警護はチームでするものです。1人で判断が下せないものは、すぐにチーム内で共有することで手遅れになることを防くことも出来ます。
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