※令和3年3月7日に受けてきたばかりの資格CPPについて記憶が新しいうちに書き残しておきたいと思います。
CPPは、Certified Protection Professionalの略で、1955年創設の世界最大のセキュリティ団体ASIS International (American Society for Industrial Security)が、主宰している資格試験です。ASISは、CPPの他にもAPP(Associated Protection Professional)、PCI(Professional Certified Investigator)、PSP (Physical Security Professional)という資格試験を主催しておりますが、CPPはこれらのフラッグシップ的の資格となっております。
ASISには日本支部も一応あるようですが、最近はウェブサイトがアップデートされていないので今も活動しているのか定かではありません(※G4S Japanが管理されているようです)。主催のASISの存在もそうですが、CPPも日本ではそれほど認知されておりません。おそらくこれは、試験自体もそうですが情報が全て英語であることが大きく影響しているのではないかと思っています。その根拠として、スウェーデンのEF Education First社のEPI(English Proficiency Index)の2020年のデータによると、日本の英語能力指数はテストを実施した100ヵ国のうち55位で、能力レベルは低いと評価されています。
CPPは、ただの資格試験なのですが、実際に試験を受けるまでのプロセスがとにかく長くて面倒なんです。まず受験資格が、受験者の学歴によって少々異なります。学士を持っている人なら6年、修士なら5年、何もなければ7年の警備経験が必要となります。そしてそのうちの3年間は、責任者として勤務経験がなければなりません。これはCPPが、もともとChief Security Officer (CSO)などの管理職を育成するために開発されたためです。上記の条件を満たす受験者は、受験申請をするのですが、その際、英語の履歴書、(もしあれば)大学の成績表、そして3人のリファレンスが必要になります。なお、このリファレンスのうちの1人は勤務先の上司で、自分の勤務を証明できる人となっています。私は国連を辞める前に申し込んだので、当時の上司、そして同僚2名の合計3名を提出しました。上司からも同僚からもASISから連絡があったとは聞いていないので、毎回確認の連絡を入れているわけではなさそうです。特に日本からの申し込みであれば、アメリカのバージニア州に本部があるASISが国際電話をしてまで連絡を取るとは到底思えません。しかし、もし連絡があった際にはきちんと答えてもらえる人を3名確保することが必要となります。
次に受験料についてです。これがかなり高くASISの会員であれば$335、非会員であればなんと$485もします。1回の試験にこれはかなり高いですが、払わないと受験資格の審査すらしてもらえないので払うしかありません。
以上はASISのホームページ上から全てオンラインで済ますことが出来ます。そして審査期間ですが、数週間から数カ月と言われており、私は審査結果が出るまでに2か月ほどかかりました。
受験の許可が出ると、ASIS Contact IDが貰え、これを用いてプロメトリックのサイトから受験会場と日時を選び、申し込みます。プロメトリックは、アメリカだといたるところにあるのですが、日本だと関東圏であれば私も受験をした御茶ノ水ソラシティアアカデミアしかありません。
試験の予約が取れたら、あとは試験に向けて勉強するのみですが、CPPはセキュリティ全般の知識を求められるので、かなり幅広く勉強しなければいけません。
CPPの試験内容は、下記の7つの分野に分類することが出来ます。
ドメイン1 Security Principles and Practices (割合22%)
ドメイン2 Business Principles and Practices (割合15%)
ドメイン3 Investigation (割合9%)
ドメイン4 Personal Security (割合11%)
ドメイン5 Physical Security (割合16%)
ドメイン6 Information Security (割合14%)
ドメイン7 Crisis Management (割合13%)
試験は上記の7つの分野から225問の4択問題が出題されます。試験時間は最大4時間まで使うことが出来ます。結果は、試験終了後すぐにメールで届きます。最低得点200点、最高得点800点のCPPは、650点以上取れると合格となります。650点を取るには、7つのドメイン全てで平均的に点数を取る必要があります。
私の経験上、CPPは、Business Continuity Plan, Mutual Aid Association, CPTED, Risk Avoidance, Workplace Violence, Drugs, Protective Lighting, Locks, Alarms, Insurances (Surely BondやFidelity Bondなど)についての問題が多い傾向にあるので、これらは押さえておかないといけません。
将来、海外で警備業に従事したいと思っている方や、日本国内でも外資系企業の警備責任者などにはCPPを求めるところも少なくありません。色々と面倒で高い資格試験ですが、取って損はない資格だと思います。
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