警備に限らず、警護でもハイグラウンド(高所)の優位性は変わりません。ボディガードの業務上、戦闘になることは任務失敗を意味しますが、万が一戦闘になってしまった場合は出来るだけ相手よりも高い場所にポジションを取るだけでかなりのアドバンテージを得ることが出来ます。
このハイグラウンドの優位性は、意識すると通常の生活の中でも沢山あります。その一例が、エスカレーターや階段です。もちろん、下りでも気をつけるのは当然ですが、上りの際は特に気を付ける必要があります。
エスカレーター/階段を使用する際、最下層(図1A地点)から最上層(図1B地点)が見えない状況を想像してみてください。ボディガードの人数に余裕がある場合や警備員を配置できるなど、B地点の安全が事前に確保されている場合はよいのですが、警護対象者(以下「V」)の背後にポジションを取るPPOは、ポイント(前方180度からの脅威対応のボディガード、そしてこのポジションはVを目的地に先導する役目も兼ねています。ボディガードの人数が少ない場合、アドバンスがポイントを兼ねることもあります)を先にB地点が見える位置まで行かせB地点の安全を確認させる必要があります。
ちなみに私が所属していた国連本部の警護チームでは、ボディガードは360度のみならず上方にも注意することを指導されていました。街中によくあるオーバーパス(高架道路、歩道橋、跨線橋など)はチョークポイントとして注意が必要になるのですが、これもハイグラウンドの優位性が関係しているからです。
上記はハウグラウンドの優位性を示すほんの数例であり、ボディガードは常に襲撃者にハイグラウンドを取らせない、己がアドバンテージであるハイグラウンドにポジションを取れるように考えながら行動をすることが求められます。
何度も言っておりますが、ボディガードの仕事にセオリーは存在しますが、最終的に現場での判断はPPOの知識や経験に頼る部分があり、その為PPOの数だけオペレーション仕方も存在するところがボディガードの難しいところでもあります。
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