日本では、免許も資格もあまり差がなく使われてしまっていますが、Licenses(免許)とCertifications(資格)には大きな違いがあります。以下の文は、世界最大のセキュリティ団体ASIS InternationalによるLicensesとCertificationsの定義です。
Certifications and licenses are NOT the same. A license is issued by a government and allows one to practice a profession. In fact, it may be a criminal act to practice without a license. Though typically not required by law, certification lets the public know that a practitioner has been professionally recognized by a credentialing agency. It is also a sign of support for the profession and the standards set by the credentialing organization.
その違いは、とても明確です。免許は、政府が発行するもので、特定の職業や行為をすることに許可を与えるものです。そして免許なしで、その特定の職業や行為をした場合には違法になることがあります。資格は、その資格主催団体が取得者の知識や技術などを証明するものです。
警備業法では、警備業者が業務を行う場合、警備員指導教責任者の資格を持っている者を必ず営業所に配置しないとならないと定められいます。国家資格である警備員指導教育責任者は当然ながら政府が発行しており、その効力を考えると免許的な側面を持ち合わせていますが、免許ではなく資格です。
日本の警備業関連では、前述の警備員指導教育責任者を始め、機械警備業務管理者、警備員業務検定などの資格はいくつかありますが、免許は今のところ存在しておりません。当然、ボディガードも警備業の1種ですから免許は存在していません。
しかし、調べ見ているとコース終了後に存在していないので取得できるはずがない「ライセンス」が取得できると謳うボディガードスクールがいくつか存在していることが分かりました。ボディガードという仕事自体が、まだまだマイナーで、一般に良く理解されていない日本であれば履歴書の資格欄に「ボディガードライセンス」と書いても問題はならないのかもしれません。しかし、海外、特にアメリカで、履歴書にボディガードライセンスと書けば、そのライセンスについて色々追及される可能性があります。
当ブログを読んでくださっている方は、海外でボディガードの仕事をすることも視野に入れている方や興味がある方が多いかと思います。だからこそ覚えておいて欲しいのですが、英語の履歴書を作成する際は、政府から発行された正当なライセンス以外は、「ライセンス」という書き方を避け、トレーニングとして○○コース修了と言った風に明記することで無駄なトラブルを避けることが出来ます。Licenseと Certificationの違いも分からないようでは、とてもプロフェッショナルとは言えません。たかが一語だと思うかもしれませんが、この一語は人に与える印象が大きく異なります。もしライセンスと言う言葉を信じて仕事を得たが、実は何の実効力も持たないCertificationであったら、それはもう詐欺と取られても仕方がありません。
日本ではまだ少ないのですが、アメリカでは雇用の際にPre-employment Screeningを行う組織や会社も少なくありません。Pre-employment Screeningでは、出願者が提出したアプリケーションや履歴書の記載に間違いがないかチェックされます。ライセンスが取得できると謳う会社の訓練を受けること自体は間違いだとは思いません。言い方はともかく、それが良い訓練であると思えるのなら受けても良い思います。ただ、きちんと自分でルールや国際スタンダードなどを理解しておくことで、間違った記載をしてそれが原因で選考からはじかれることを回避出来ます。Security Professionalを目指す人間は、こうした一般的には大したことではないと思われることにも注意をする必要があります。
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