東京オリンピックが開催されれば、国内外のVIPsが多く集うため、警護・警備に携わる人にとっては良い学びの機会となります。ただ、民間警備会社の警備員がフット・フォーメーション①で紹介したようなフォーメンションに入って警護に携わることは少なく、その外(アウターレイヤー)での警備(サポート)に当たる可能性が高いと思います。
その際、警備業従事者なら言わなくても既にお分かりだと思いますが、インナーサークル、つまり専属のCPチームのフォーメーション内には絶対に立ち入らない、そして邪魔をしないことが重要です。インナーサークル内に予期していない人が入りこむことを極端に嫌うCPOも少なくありません。そのため、CPチームの邪魔にならずにサポートできるよう、CPチームがどのようなフォーメーションを敷いているのかを素早く判断し、フォーメーションの隙を埋めるようにポジション取りをします。
4人のアウター警備を付けることが出来るとしたうえで、もしCPチームがボックス・フォーメーションを取っていれば、同じように更に大きなボックスで護ることも出来ます。ボックスではCPO同士の距離が開いてしまうことがあると書きましたが、だからこそ4点の間にポジションを取りその穴を埋めることで、より強固な警護フォーメーションが出来上がります。この法則は、ダイアモンド・フォーメーションにも共通しています。同組織のCPチームのサポートなら、アウターでもインナーと同じフォーメーションを2重に敷くこともありますが、外部組織の場合にはCPチームの視野を塞いでしまう可能性もあるので、やはり後者のインナーのCPチームのポジションに重なることなくズレてギャップを埋めるようにポジショニングを取ることが最善です。
Vフォーメーションに関しては、前部は意図的に開けているため、そのままで両サイドと層の薄い後方をサポートすると良いと思います。もしどうしても前部のギャップを埋めたいというのであれば、もともとVフォーメーションは見通しがよく人があまりいないようなエリアで用いるフォーメーションなので、クライアントが圧迫感や閉塞感を感じない適当な距離を取ったうえで前部にポジションを取ると良いかと思います。
パレードのような両サイドに人が大勢つめかけるようなシチュエーションでは、CPチームのフォーメーションは関係なく、沿道の人とCPチームの間に壁として等間隔でポジショニングを取り、必要であれば壁はCPの動きに合わせて動くとより効果的です。
今回は警護と言うよりは警護をサポートする警備に焦点を当てました。警護を目指す人には、警備を軽んじる人が時々いますが、これは大きな間違いです。脅威が高い状況下での警護ミッションの場合には、サポートチームの力なしに成功はありえません。こうしたことから、警護だけなくサポートチームについて学ぶことも警護を極める上で重要なことだと言えます。
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