フット・フォーメーション①(基礎)

ボックス」、「ダイアモンド」、「V」といった警護のフォーメーションがありますが、これらのフォーメーションを形成するには最低でも警護官が5人必要となります。しかし、世界的にも見ても治安が良く、脅威レベルが低い日本での警護、特に民間警備会社が行うサービスの場合、5人もの警護員を派遣するのは稀なことです。そのため、これまでフット・フォーメーションについて触れていませんでした。

令和3年5月9日現在、COVID-19の第4波が収まらないにもかかわらず、日本政府は7月23日から開催予定のオリンピックを強行しようとしています。オリンピックが開催されれば、通常より少ないとは言え、国内外のVIPsが東京に集うことになり、警視庁の警護官(SP)のみならず、おそらく民間警備会社の警備員たちも何らかの形でVIPsの警備や警護に携わることになると思われます。そうなれば、海外の警護官たちとコミュニケーションを取る可能性も出てくるので、今回は基本となる3つのフット・フォーメーションについて説明をしたいと思います。

各フォーメーションには、異なる特性があります。それぞれの特性をよく理解し、状況によって最も適切なフォーメーションを臨機応変に取れるようにしておく必要があります。

ボックス(Box)」フォーメーション

Box Formation

その名の通りに、クライアントを中心に警護員を箱のように4隅に配置します。チームリーダーは、警護員によるボックスの中心でクライアントのすぐ傍にポジションを取ります。 その際、チームリーダーは、自身の利き手により、右利きならクライアントのやや右後ろ側に、左利きならやや左後ろにシフトします。ただし、右利きのチームリーダーであっても、右側が全て壁で安全が確保されており、より左側に脅威がある場合には左にシフトを取ることもあります。これまでも何度も書いておりますが、Close Protection Officer (CPO)に大事なのは柔軟性です。警護チームは箱を広げたり、狭めたりすることで異なる脅威レベルに対応します。ボックスフォーメーションは、万能型で色々な場面で利用が可能ですが、警護員の熟練度やコミュニケーション不足により警護員同士の間にスペースが生まれてしまうことがありがちなので注意が必要です。

ダイアモンド(Diamond)」フォーメーション

Diamond Formation

ダイアモンド・フォーメーションは、脅威レベルが比較的高いフィールドで好んで使われる傾向にあります。そのため、脅威がそれほどない都市部でこの体系を取ると少々攻撃的なイメージを持たれることもあり、クライアントの中にはこのフォーメーションでの警護を嫌う人もいます。

」フォーメーション

V Formation

Vフォーメーションは、Vの中心部にクライアントを置くため、他のフォーメーションに比べて前部によりスペースができます。圧迫感が少ないことから、この体系での警護を好むクライアントも多いのですが、前面部にスペースがあるので、群衆の中での警護には向いていません。Vフォーメーションは、見通しの良い開けたエリアや人が少ないエリアでよく使用されます。

フット・フォーメーション②では、CPチームをサポートするチームのポジションイングについて説明します。

※ロープロファイルやエスコートでのポジショニングについては、ボディガードのポジショニングを参考にしてみてください。


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