アメリカで長く暮らして気がついたことがあります。英語にコンプレクスを持ち、自信がない時や、相手の言ったことを良く理解出来なかった際、微笑んでごまかす、その場をしのごうとする人が日本人には多い点です。同じアジア人でも中国人や韓国人は、英語が上手く話せなくても、このような態度をあまり取りません。
警護というフィールドでは、曖昧な態度で事を済ませることは絶対にしません。一流のチームになればなるほど、この点について徹底されています。チーム全員のしっかりとした戦術理解が警護には不可欠です。
考えてもみてください。自信がないボディガードに仕事を任せたいと思うクライアントがいるでしょうか。コミュニケーションが全く取れないのでは困ってしまいますが、英語に多少難があっても、警護には確固たる自信を持ち、堂々とし、他人の言動に影響されない不動心を持つボディガードであれば、仕事を得ることが出来ます。そのためにも、分からないことは、しっかり理解できるまで根気強く粘ることがとても重要です。
しかし、外国人の多くは特に友達でもない仕事だけの関係の人のために、相手のペースに合わせて待ってはくれません。そういった環境で理解するまで粘ると言うのは、大変な面もありますが、ごまかし笑いで得られるものは何もありません。何も面白くないのに笑いを浮かべては不気味な人だという印象を持たれチームでも浮いてしまうだけです。そうなるよりは、分からないなら分からないとしっかり示した方がよほど有益です。
今では珍しくなくなった日本人大リーガー、しかし数十年前までは体格で劣る日本人選手がメジャーリーグで活躍する姿なんて想像が出来ませんでした。メジャーリーグで日本人が普通に活躍できる道を切り開いた、いわばパイオニア、野茂英雄選手は、長くメジャーで活躍したにも関わらず、インタビューの際に英語で受け答えをすることがありませんでした。野茂選手の英語力に関しては分かりませんが、彼が以前「私は英語を勉強しにアメリカに来たわけではないんです。野球をしに来たんです。」と答えていたことが強く印象に残っています。彼は、英語を話さず、プレー中は仏頂面なことも多かった選手ですが、その妥協を許さないプレースタイルで地位を確立しました。それは、惜しくも当選とはなりませんでしたが、引退後メジャーでもHall of Fame(日本球界でいう名球会)の候補者に選出されたほどです。
海外での警護に興味はあるけれど、英語が出来ないから自分には無理だと諦める人がいますが、英語が話せないことなんて大した問題ではありません。実際、私も長くアメリカに住んだ割には英語があまり出来ません。しかし、それに全くコンプレックスは持っていません。大学から英語の生活に入った自分が、英語が母国語で、小さいころから話している人と同じように話せないのは当然だと開き直っています。英語力で劣るなら他でカバーすればよいのです。海外で警護をしたいと思っている人は、まずはしっかりと警護の専門知識を身に着けることをオススメします。知識があれば、自信がつき、ごまかし笑いをする必要もなくなります。そして、そういった態度は、チームメイトやクライアントからの信頼にもつながるのです。
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