ゲストのプレゼント検査

クライアント宛に届いた手紙や小包は、クライアントの手に渡る前に全てボディガードが安全か確認すると書きました。今回は、その延長でクライアントのゲスト(客人)がプレゼントを持ってきた場合にどう対応すべきかを紹介したいと思います。

最善の策は、事前に直接のプレゼント交換は控えて欲しい旨を先方に伝え、もしプレゼントがある場合にはプロトコールを通して渡すようにしてもらうことです。プロトコールが受け取ったプレゼントは、セキュリティが安全を確認したうえでクライアントへと渡されます。

どうしてもクライアントへ手渡しをしたいという場合には、ゲストには一度ホールディングルーム(待合室)に入ってもらい、その間に警護チームがプレゼントのチェックを済ませ、ゲストへプレゼントをお返しするいう方法もあります。

警護チームが最も困るのが、プレゼントがあることを事前に報告してくれず、当日も荷物のどこかにしまっていてパッと見ではプレゼントを持っていることが分からないゲストです。いざクライアントと会う段階になり、手荷物からサッとプレゼントを渡されてしまった場合には手遅れです。セキュリティチェックが済んでいないからと、間に入ってゲストからプレゼントを奪うわけにはいきません。この場合には、クライアントが受けた取った後、さりげなくすぐにクライアントから受け取り、セキュリティチェックをすることになります。

クライアントの家族や親戚であったり、長年互いによく知る友人だったり、ビジネスと別にプライベートで会うような人達の場合には、クライアントの意向を確認したうえで、プレゼントのセキュリティチェックをしない場合もあります。

私の前所属の国連や警視庁など組織であれば、ゲストのプレゼント対応に関する明確なルールが取り決められており、警護員はそのルールに従えば良いだけです。しかし、民間警護の場合には、そういった明確なルールが設けられていないことがほとんどです。クライアントには、しっかり脅威レベルとリスクについて理解してもらったうえで、どこまでの警護を求めるか線引きを決めておく必要があります。

ボディガードにとって一番重要なのは、「クライアントの安全」などのセキュリティ面ですが、クライアントにとっては「人とのつながり」もそれ同等、もしくはそれ以上に重要です。ボディガードが暴走して、ゲストに恥をかかせるようなことをした場合には、クライアントの面子を潰し、多大な損害をもたらしかねないことを理解しておかないといけません。


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