総務省の「2019年における個人のモバイル端末の保有状況」によると、スマートフォンの保有者の割合が67.7%となっています。幼い子供や高齢者を除けば、この数値は更に高くなるでしょう。すなわち、若年層や中年層に限れば、8割~9割がスマートフォンを持っていると言っても間違いないと思います。
こうしたスマートフォンの普及に伴いSNSの普及率も増加をたどり、日本のSNS利用者は現在約8000万人、約80%の普及率となっています。
スマートフォンとSNSは、現代人にとって生活に欠かせないアイテムとなっています。さらに、つい先日人気SNSの1つであるインスタグラムが「いいね」の数を隠す機能を発表したことからも分かるように、より多くの「いいね」を集めるために一目を引く写真や動画を投稿することに躍起になっている人も一定数います。
そうした人たちにとって非日常の出来事は、「いいね」が貰える美味しいトピックに映るようです。非日常の出来事の中でも、事件や事故はとびっきりのSNSネタです。現場で必死に活動する警察、消防、救命等のレスポンダーからすると、手伝うわけでもなく事件や事故現場を撮影しようと近づいてくる野次馬は邪魔な存在です。撮影を止め、手伝うように促す、距離を置くように伝えることは出来ますが、撮影を止めるか否かはあくまで撮影者次第なところがあります。というのも日本では、憲法21条で「表現の自由」が守られているためです。つまり、事故でケガをした人を助けるわけでもなく、面白がって撮影することは倫理的に間違ってはいても、法律で罰せられる行為ではありません。幸い、日本はアメリカのような裁判国家ではないので、警察が撮影を止めるように強く言えば、素直に従う人がほとんどです。しかし、相手が法律を熟知したうえで権利として主張し、撮影を止めない場合には、警察であってもそれを止めさせることは容易ではありません。また撮影者は野次馬だけなく、被害者の家族や知り合いの場合もあります(日本でこのようなタイプの撮影者がいるか分かりませんが、アメリカではこのようなケースも結構あります)。この場合は、レスポンダーが誤った行動を取っていないか記録していることが多いようです。
アメリカにも、日本の憲法21条と同様に1st AmendmentでFreedom of Speech, Freedom of pressが認められています。裁判国家のアメリカでは、こうした法律を逆手にとって警察や消防をいやがらせのように撮影して、怒らせたところで1st Amendmentを主張し、警察などのPublic Worker (公務員)を小馬鹿にした動画を公開しているAuditing AmericaのようなYouTuberも存在するので、海外では更に気を付ける必要があります。
何が言いたいかと言いますと、レスポンダーは野次馬がいたとしても、あからさまに邪魔をしていない場合や、脅威とならない場合は、自分のすべきことに集中して正しい行動をとることが重要だということです。ボディガードも、前述のレスポンダーと同様に、野次馬にあまりに気を取られてばかりいてはいけません。ただ身体が大きいだけで正しい知識を持たないハリウッドのセレブリティのボディガードたちが、ファンやパパラッチに対して短気を起こし、小競り合いになるケースはこれまで何度もカメラに収められています。こうしたケースは、ボディガードだけでなく結果的にクライアントにまで恥をかかせてしまうことや、トラブルに発展することもあります。脅威なのか、ただの野次馬なのか瞬時に判断することは時として難しいこともありますが、とにかくボディガードは不動心で、どんな時でも冷静に対応することが重要です。
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