人は誰でも体調を崩したり、病気にかかったりして病院に行くことがあります。高齢者※や持病を持っている人であれば、病院にかかる可能性はさらに高くなります。ホスピタル(病院)は、アドバンスエージェント(先着隊、先遣隊)が絶対におさえておかないといけない場所の1つです。
高齢社会白書(内閣府)では、高齢者を65歳以上とし、65歳から74歳を前期高齢者、75歳以上を後期高齢者としています。
クライアント・インタビューの際に、クライアントにかかりつけ医がいれば連絡先を聞いておきます。もしクライアント本人が何らかのトラブルで医師とコミュニケーションが取れない状態になったとしても、ボディガードがクライアントに代わりこの医師とクライアントの状況について連絡が取れようにしておく必要があります。そのためにもかかりつけ医がいる場合には、最低でも1度は実際にかかりつけ医のもとを訪ねて挨拶をしておくと良いでしょう。かかりつけ医によっては、勤務時間外であっても何か緊急事態であればいつでも連絡が取れるようにと個人的な連絡先を教えてくれる医師もいます。
ボディガードが病院内まで一緒についていることに慣れている医師や病院もあれば、そうでない場合もあります。アドバンスの際に、今後クライアントが病院に訪れる際にはボディガードも○○名一緒に院内に入ることを伝えると、他の患者が何事かと驚かないように特別な入口の使えるようにアレンジされる場合もあります。ボディガードの勝手な行動やわがままが原因で、クライアントと医師の関係が悪くなってしまうようなことは絶対にあってはなりません。必要なことは伝えますが、出来る限りは病院や医師の意向を尊重し、良好な関係作りに努める必要があります。
以下は、アメリカで、そして赤色灯やサイレンのついた緊急車両の使用ができる状況下での対応になります。(病院事情は、国や地域でかなり異なるので、ご自分が勤務される国や地域の病院事情について精通しておく必要があります。)
かかりつけ医とは別にクライアントに動きがあるごとに最寄りの病院について調べておく必要があります。移動中であれば、A地点からB地点までのゾーン①の間に何かがあれば○病院、B地点からC地点までのゾーン②の間であれば△病院とゾーン別けをしておくと良いでしょう。そして目的地到着後は地点毎に、レストランDの場合には☆病院、オフィスEの場合には◎病院へ搬送するといったように決めておくと、緊急時にもあわてることなく、無駄なタイムロスなしでクライアントを病院へと搬送出来ます。
警察車両のエスコートや緊急車両を使用できない状況であれば、クライアントの状況にもよりますが緊急を要する場合には無理をせずに救急車を呼ぶなどの対応も考慮に入れておく必要があります。その際には、後で問題にならないよう、クライアントには出来ることと出来ないことをしっかり事前に説明をして、緊急時の対応も理解してもらう必要があります。
日本では、救急車が到着しても、受け入れてくれる病院がなかなか見つからず時間だけが刻々と過ぎていき、結果手遅れになってしまったなんていうニュースを見ることがあります。救急車を呼ぶにしても、事前のアドバンスで病院側に話をつけていれば救急車を呼んだあとすぐに病院側に連絡を入れて手回しをすることも可能かと思います。
日本の現場到着所要時間は全国平均で8.6分、病院収容所要時間は全国平均39.3分。(総務省調べ)
アメリカの病院の場合には、以前トラウマセンタ―の項でも書いたように、ランク分けや専門医の住み分けがしっかりしているので、アドバンスの病院選びも比較的楽にできます。
前職で日本の先着をした際に何度かサポートをしてくれるSPにトラウマレベルについて聞いたことがあります。誰一人としてトラウマレベルを理解している人がいなかったのと、病院がどの程度の処置が出来るのか聞いてもしっかり答えられたSPがいなかったことから考察すると、日本の病院には素人にでもパッとみて分かるレベル分けはされていないようです。医療の専門家がいる病院に連絡をして直接聞けば分かりますが、毎回時間に余裕があるとは限らないアドバンスワークの大半をホスピタル・サーベイに費やすわけにはいきません。日本を拠点に活動すると決めたら、時間に余裕がある際に活動拠点にある病院を少しずつ調べてデータベースを作ると、時間をセーブすることが出来るようになります。
国連本部の警護チームでは、警護対象者が海外に出張中、アメリカに残ったチームは定期的に病院に行きデータベースのアップデートに努めていました。
病院のアドバンスをして、データベースを作成する際には何を聞くべきなのかを少し下にリストしておきますので、参考にしてみてください。
- 病院の名前、住所、連絡先(※連絡先は、一般の電話番号とは別にER直通の番号や、宿直の医師や看護師の携帯番号などがあれば更に良し)
- 宗教(海外のクライアントや病院は宗教を気にする場合もあるので念のため調べておく必要があります)
- 院内(病室)への24時間アクセスの許可
- 病院に武器の持ち込みに関する制限の有無
- トラウマ・レベル(可能ならば)・診療部門(医局)
- ERの場所
- 病床数
- ヘリパッド(ドクターヘリ)の有無
- 治療不可の場合の転移システムと転移先の病院
- 危険地域では、クライアントと同じ血液型の血液のストックの有無
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