ボディガードと先入観

警護車両と言われたら黒色の高級セダン車や黒色の大型SUV車をイメージする人が多いと思います。実際、日本だけに限らず世界的にも警護車両の多くは黒色です。高級感威圧感があるうえ、人気色なので目立ちすぎないのも黒い警護車両が好まれる理由だと言われています。日本では、たびたび煽り運転のニュースが世間をにぎわせていますが、黒塗りの高級車をわざわざ選んで煽り運転をする人は少ないと思います。

(写真上)伊勢志摩で開催されたG7の際に使用した警護車両。

ただ、これまで何度も書いているように警護をするうえで正解は1つではありません。警護車両は黒色の車両でないとダメだとか、黒色の車両を選ばなかったらプロではないということでもありません。実際、色々な国で警護をしてみて、白色の車両をあえて警護車両に選んでいる国もありました。

砂漠の国モーリタニアや熱帯モンスーン気候に属しているため年中高温多湿のシンガポールなどでは、砂塵でつく白い汚れが目立ちにくい、車内が日差しで高温になることを防げるという理由で白色の車両を選んでいます。警護のプロとして利便性よりも安全性が1番考慮すべきことなのは、どんな環境であっても変わりません。しかし、白色の車両でも黒色の車両でも安全面で差がなければ、利便性を優先して車両を選ぶことは間違いではありません。

(写真上)シンガポールで使用した警護車両は白色でした。

既成概念や先入観を取り払うことでものの本質が見える」というのは、ボディガード業にも言えることです。優秀なボディガードには、総じて高い洞察力があります。そして洞察力が高い人は、物事をゼロベースで捉えられる人たちです。つまり本質を見抜くことの障害要因となる先入観をゼロに出来るということです。今回は、車両の色を例として挙げましたが、これはあくまで1つの例に過ぎません。長くボディガード業に携わっていると、先入観を忘れられた際により良い警護プランが思い浮かぶのだと実感できる時が必ず来ます。


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