日本の資格③猟銃所持許可証

海外でボディガード業に従事すると、民間でも日本ではなかなか扱わないような火器を扱う機会があるかもしれません。日本は、安全を保つために大変厳しい銃規制が敷かれています。そのため、海外に比べると民間人が火器を扱う機会は非常に限られています。以前も書きましたが、拳銃の扱いに関しては、日本で民間人が合法的に所持することが出来ないので、エアガンを用いてドローイングの練習やドライファイアを繰り返すことで正しいトリガーコントロールを習得すると良いでしょう。長銃に関しては、色々ルールはあるものの日本でも合法的に所持することが可能です。私が今回取得した散弾銃の所持許可も方法のひとつです。ボディガード業で散弾銃を使用することは稀ですが、実弾を撃つことでエアガン等では得ることが出来ないリコイルを体験できる点、そして1射目の後リコイルでずれたサイトピクチャー(Sight Picture)を素早く再調整するサイトアライメント(Sight Alignment)の技術を覚えるためには、大きなリコイルがある実弾で射撃をすることがより効果的だと思います。ただ良いことばかりでなく、難点もあります。海外の警察や軍隊などでは長銃を扱う際、小回りが利かないうえ、防弾チョッキを着た状態では逆に銃を安定させにくいといった理由で、肘を横に張った射撃フォームは「チキンウィング」と呼ばれ直すように言われます。しかし、競技射撃では肘を挙げることでショルダーポケット(銃床がピタッと入る凹)ができ、素人でも銃を安定させやすいという理由でチキンウィングを好む人も多く、指導を受ける際に勧められることもあります。一度身についてしまった射撃フォームを直すのは容易ではありません。将来的に海外でボディガード業をする際のことを考えて、実弾になれる目的で散弾銃を始めようと思っている方は、射撃フォームは良く考えて練習をする必要があります。弊社のCCPSやCCPS/Wのコースでは、エアガンを使用しボディガード業務に適した長銃の構え方を指導致します。

(画像上)日本での愛銃、今は亡きSKB社のMJ‐3。中古で購入。

最後に、日米両国で銃の所持許可証を得たからこそ感じた、日本の許可証取得までのプロセスで見直した方が良い感じた1点をここに記しておきたいと思います。日本の銃刀法は世界的にも見ても非常に厳しく、民間人が銃を所持するのが最も難しい国の1つです。そんな日本なのに、許可証の申請者の犯罪歴は面接の際に警察官が口答で有無を問うだけなのです。もちろん、日本の警察は優秀なので、名前や住所などから過去の犯罪歴は調べているはずです。アメリカでは、州によって許可証の取得プロセスは多少異なりますが、全ての申請者に指紋の採取が義務づけられています。日本では、許可証の取得プロセスで、精神科医の診断者の提出が義務づけられ、更に警察による身辺調査では家族や知人、隣人に対して申請者に自殺願望がないか、何か人間性に問題がないかを執拗に聞かれます。所持許可を出した者が銃による自殺や事件を起こしてしまってはならないので、警察が万全を期したいがために色々しつこく調べることには理解が出来ます。しかし、どれだけ調査をしても、自殺や事件は起きる時には起きます。だからこそ、何か銃がらみの事件が起きた際に捜査の役に立つよう、申請者には指紋の採取を義務づけた方が良いと個人的には思っています。

(画像上)ニューヨーク市のCCWライセンス。採取された指紋がライセンスにも載せらています。

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