2015年9月に国連で開かれたサミットの中で決められた「SDGs(Sustainable Development Goals)」という言葉は、最近日本でもテレビなどで頻繁に耳にするようになりました。SDGsには2030年までに達成すべき17の目標があり、その一つ「3. すべての人に健康と福祉を」という目標の中には、「2030年までに、非感染症疾患による若年死亡率を、予防、治療を通じて3分の1減少させ、精神保健及び福祉を促進する」とあります。自殺率が最も高い国の一つである日本は、他の国よりも深刻にこの問題に取り組む必要があります。
厚生労働省自殺対策推進室ならびに警察庁生活安全局生活安全企画課が公表している「令和2年中における自殺の状況」によると、令和2年度の日本における自殺者数は前年度より4.5%増で21,081人でした。
前述の資料中にも「自殺の多くは、多様かつ複合的な原因及び背景を有しており、様々な要因が連鎖する中で起きている」と書かれていますが、その連鎖する要因として健康問題や経済・生活問題、勤務問題等があります。2020年そして2021年は、COVID-19によってより多くの人が上記の問題を抱えるようになっており、治安の悪化と共に自殺者の増加が懸念されています。これは日本だけなく、世界中で心配される事案です。
国連本部の警護時代の同僚で、私が本帰国する直前に送別会もかねて開かれた飲み会にも、忙しいなかわざわざ駆けつけてくれた仲間も2020年3月に自ら命を絶ちました。COVID-19により、働き方も生活もこれまでとはガラリと変わってしまい、色々と心に悩みを抱える職員も多くなったため、国連本部では、現在Suicidal Prevention Initiativeという自殺予防のセッションを実験的に行っています。
令和2年度の結果を見る限り、他の職業に比べ警備業従事者の自殺率はそれほど高くなく、全体の0.40%となっています。しかし、この数字に安心することなく、警備業界は今後もこの数を増やさないために今から予防対策を取る必要があります。
心に不安を抱えたままでは、100%の警備、警護は出来ません。会社が社員の心のケアをすることは、自殺者を出さないだけなく、質の高い警備・警護、そして顧客からの信用にもつながります。また、こうした取り組みをしている企業は、SDGsの達成に貢献しているとして今後より高く評価されていくはずです。
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