ドライバー派遣サービスを利用する際のガイドライン①

警護チームのメンバーが警護車両の運転も担当することが本来は望ましいのですが、民間の警護の場合は特に予算の問題で、リムジン会社タクシー会社等から車と一緒にドライバーの派遣もお願いしているところが多いのが現状なようです。以前、日の丸リムジンの方と話す機会があったのですが、日の丸リムジンでは、基本的な車列の運転などは教育されているということでした。確かに基本的な車列の動きは理解されていて、運転自体は問題ありませんでした。しかし、警護のプロではないので根本的な考えが異なるため、警護プロでは考えられないような行動を取る場合があります。これは仕方がないことです。だからこそ、非警護の人間がクライアントの乗る車を運転する場合、ボディガードには事前に打ち合わせをして運転手の任務やガイドラインを指導する責任があります。

運転手に伝えないといけないことは沢山ありますが、最も大切なことは、「どんなことでも良いので、質問、疑問がある場合にはすぐに警護の人間に聞いてください。」、「これぐらいは聞かないでも大丈夫だろうと勝手に判断をしないでください」と伝えることです。

車の鍵を2セット持ってきてもらい、1つはPPOに預けるようにお願いすることも重要です。運転手は、車から離れないことが基本ですが、人間ですから長時間の勤務などではトイレなどでどうしても離れないといけないこともあるかと思います。十分な人数がいれば、トイレに行っている間も他の人間がカバーすることも可能ですが、必ずしもいつもカバーできるとは限りません。万が一、運転手が車から離れている間に車を使うことになった際に、鍵がないがために立ち往生するなんてことを避けるためにも、PPOは予備の鍵を預かっておくべきです。

警護のプロでもなくても運転手なら教えなくても出来て当然ですが、念の為に運転手には勤務開始前にガソリンは満タンにしておくように伝えます。ガソリンは、タンクの半分以下にならないように保つことが好まれます。ガソリンが半分以下にならないように、オフィスなど1か所に長時間がいることが分かっている場合には、必ず警護官にその旨を伝えてから給油に行ってもらうようにします。

以前シークレットサービスがイスラエルでガソリン車の大統領専用車に誤ってディーゼルを入れて故障をさせてしまったことがあります。ドライバーは、最適な燃料をしっかり知っておく責任があります。

運転手には、クライアントが好む気温も伝えておき、車内は常にその温度に保つように努めてもらいます。特に希望がないクライアントの場合には、20℃(68℉)程度に設定するようにお願いしておきます。

タクシーに乗ると客の意思は関係なしに自分の好きなラジオを大きな音で流している運転手が時々いますが、ラジオはクライアントの希望がない限りはオフにしておくようにも伝えておく必要があります。ちなみに私が担当したクライアントの1人に、WQXR New York’s Classical Music Radio Station (105.9MHz)を下から2番目のボリュームで流しておくことを好む人がいました。しかも、このクライアントは車内の温度を冬は22℃と少し高めに設定することを好んでいました。クラシック音楽に暖かい車内、眠くなる要素満載です。このような状況でも高い集中力を保つためにも運転手には、勤務前夜は十分な睡眠を取るように伝える必要があります。なおボディガードは、運転手が運転中に居眠りなどをしていないか時々「大丈夫」などと声をかけてチェックするように心がける必要があります。

特に日本はそうですが、運転手はクライアントが車に向かって歩いてきた際に車内から出て車のドアを開けようとします。しかし、運転手にはドアはボディガードが開けるので車の中から出てくる必要がないことを伝えます。そして全員が車に乗り込んだらすぐにドアロックをかけることも伝えておきます。当然ですが、窓はいつも閉めている状態です。クライアントが間違って窓を開けてしまわないように、事前に全窓のチャイルドロックをオンにしておくと良いでしょう。

警護上の理由で車の窓は常に閉まっている状態なので、車内で食事などをするとどうしてもにおいがこもってしまうので、運転手にはクライアントが車にはいない待機の状態であっても車内で食事をしないように伝える必要があります。同じ理由で、キツイ香りの香水などの使用も控える必要があります。クライアントが喫煙者でない場合には、運転手やボディガードも勤務中は休憩時間であってもタバコを吸うのは避ける、もしくは吸った際にはすぐに歯を磨き、マウスウォッシュなどで口臭対策をする必要があります。

運転手の中には、おしゃべりな人もいます。しかし、クライアントから話かけられない限りは運転手からクライアントに話しかけることがないように事前に伝えておく必要もあります。

運転手には、携帯電話に着信があっても鳴らないようにマナーモードにするか電源をオフするなどの対応を求めます。当然ながら運転中に、運転手が電話に出ることは絶対にあってはなりません。※Bluetoothイヤホンなどにしても、警護車両の運転中にプライベートの通話をすることは適切ではありません。

車内は綺麗にしている運転手が多いのですが、トランクの中までは綺麗にしていなかったりします。トランクの中には、警護の装備を入れますし、クライアントの荷物を積み込むこともあるのでトランクの中も忘れずに綺麗にするようにお願いします。

他にも挙げると切りがありませんが、ボディガードは警護体制に合わせたガイドラインの作成ならびに運転手への認知、教育は警護プランの大事な要素の1つあり、決して怠ってはいけない事項です。


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