知識の言語化

皆さんもよくご存じのように、日本の警備業は1号から4号までの4つに分類されています。ボディガードは、この区分でいうと4号警備となるのですが、この4号警備は他の3つと大きく異なる点がいくつかあります。その1つが、クライアントとの距離です。民間警備の場合には、区分に関係なく、契約がまとまるまで営業職がクライアントの窓口となり、その後クライアントの求めるサービスを提供することになります。1号から3号までは、現場に立つ警備員とクライアントの関係は、1日の出来事をレポートする程度でかなり希薄です。しかし、4号の場合には、クライアントのすぐ傍で身の安全を護ることが主な任務ですから、その関係性は他とは異なり直接話すことも多く、かなり密なものです。

クライアントと一口に言っても、色々な考えを持つ人がいます。ボディガードを雇う、雇える人達の多くは、それなりの地位を確立した人が多い傾向にあります。そういった人達に共通するのが、確固たる哲学を持っているということです。専門分野でなくてもカンがとても鋭いので、適当な説明では納得してもらえません。では、こういったクライアントにもなぜそのような警護体制を取るのかきちんと納得してもらうためにはどうすれば良いかというと、自身も人に何を言われてもぶれない警護に対する確固たる哲学を持つことです。そしてそのためには知識と経験、それらを洗練された言葉で説明するスキルが必要になります。腕っぷし自慢のみで警護の本質を理解していないようなアマチュアは、「自分の命に代えても護ってみせます」などとドラマや映画ばりのセリフを言いますが、こんなチープなセリフではクライアントに納得してもらえません。

セキュリティが学問としてしっかり確率されているアメリカの大学でセキュリティのコースを取るとよく分かるのですが、警備や警護はサイエンスです。過去の事例をまとめた統計を基にリスクを数値化することで原因要素を解明し、それに対する対策を導き出します。ビジネスリーダーには、何よりも数字を信じる人が少なくありませんので、数値化して説明することは利にかなっていると言えます。

それにプラスして、過去の事例、現地の警備・警護に関する法律をよく勉強し、オペレーションのベースとなっている根拠を専門家らしい言葉で説明できれば、難しいクライアントであっても納得してそれ以上細かく聞いてくることはなくなります。専門家らしい言葉を身に着けるのには、先日私も受けブログでも紹介したASISのCPPを勉強することが最適だと思います。

私自身、自分で体験して実感したのですが、記憶力も体力と同じで加齢による衰えが生じますので、プロのボディガードを目指される方は出来るだけ早い段階から、国内海外関係なしに言語と知識はしっかり勉強しておくことを推奨します。


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