ホテル滞在中は、警護対象者/クライアント(以下「V」)の部屋にホテルの従業員が勝手に入らないようにします。清掃やベットメイキングでハウスキーパーが部屋に入る際には、ボディガードが必ず立ち合い、ホテルの従業員だけでVの部屋に入ることはさせません。Vの部屋だけでなく、ボディガード自身の部屋も、武器などの装備や機密書類があることも考えれば、ホテルの従業員が勝手に部屋に入ることは避けるべきです。ましてやPPOの場合には、Vの部屋のすぐ傍の部屋の場合が多いので、更に用心が必要です。
「Do not Disturb」のサインをドアノブにかけておけば、本来であればホテルの従業員が部屋に入ることはないはずです。しかし、何かの手違いやホテルによってはポリシーで○○日以上になった場合には中に入って何かおかしなことが行われていないか確認することもあるようです。そのため、私はいつも部屋の中に誰かが部屋に入ったら分かるようにドアに細工をしたり、特定の物を特定の場所に置いたりしていました。
私は仕事でホテルに滞在する場合、常にドアノブにDo not Disturbサインをかけています。大抵、ハウスキーパーの方にはタオルの交換や、ゴミ箱の中身を片付けてもらうだけで部屋には入らずに対応してもらっていました。日本だと帝国ホテルのようなVIPが多く泊まるホテルでは、こうしたボディガードの行動にも慣れていて不思議がることもなく普通に対応してもらえます。
ホテルの部屋の中にある金庫ですが、万が一ゲストが暗証番号を忘れてしまった時や、鍵を紛失してしまった時の為に開ける方法があるようです。それは言いかえれば、ホテルの従業員ならば比較的簡単に開けられるとうことですので、金庫に入れてあるから安心という気持ちは少し危険かもしれません。また、番号を忘れないように1234や0000といった単純なコードを設定する人が意外にも多くいますが、金庫を使用する際はランダムな数字や文字を使用するようにしましょう。またMilockie Hotel Safe Lockのような金庫のセキュリティを強化するアイテムも市場に多く出ているので、そうしたアイテムを利用してみるのもよいでしょう。
夜の睡眠時ですが、夜中に何も起こらないとは限りませんので、何かあった際に素早く行動が出来るように装備は一まとめにして、すぐに手が届くところに置いておくように心がけます。
カザフスタンの首都ヌルスルタンにある高級ホテル・ケンペンスキーホテルに仕事で宿泊した際に、私が既にチェックアウトしたと勘違いしたホテルの従業員が、夜にノックもせず部屋のドアを開け、部屋に侵入してきたことがあります。ガチャガチャというドアを開ける音で、すぐに目を覚ました私はベッドの脇に置いてあった拳銃を手に取り、ドアの方に向け構えました。侵入者がつけた部屋の明かりで、ホテルの従業員だとすぐに分かった私は銃をしまいましたが、ボディガードは万が一の際に瞬時に行動出来るようにしておかなければなりません。
こうしたボディガードの内情を知らない方からは、高級ホテルに泊まれることを羨ましがられますが、実際は数時間寝るだけで立派な部屋を楽しむことはありません。
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