ホテル・サーベイ(3)

ホテルの担当者と現地調査のアポイントメントが取れたら実際にホテルに行って現地調査をします。この現地調査で、リスクとなりうる要素が見つかった場合はホテルと相談をして改善、もし改善が無理な場合にはクライアントにその旨を報告して、最悪な場合はホテル変える必要もあります。

ホテルに改善を要求するにしても、時間的に無理なんてことがないように、ホテル・サーベイはクライアントがホテルを指定(予約)したら出来るだけ早くに現地調査を行うようにするとホテル側に改善をお願いするにしても、ホテルを変更にするにしても慌てなくて済みます。

ホテル側も上客(VIP)が泊まることは名誉としてとらえるところも多いので、あまりにも無理な要求でない限り、かなりこちらの要求をのんでくれます。ただし、ボディガードの中には、ホテルの従業員に対して上からの対応をする人がいますが、これはプロのボディガードとしてはアウトです。ホテル側の理解とサポートがなければ、警護もうまくいきませんし、またいつそのホテルを利用することになるのか分かりません。良いホテルとは常に良好な関係を保つべきです。クライアントが著名人の場合には、ホテルの支配人などと写真を撮るなどのサービスをしても良いと思います。

ホテルに到着をしたら、まずチェックするのはホテルの出入口/車寄せです。VIPを受けれ入れがしっかりしている帝国ホテルのようなホテルの場合には、VIP専用の特別な出入口/車寄せが設けられていますので、まずそのような出入口/車寄せの有無をホテルの担当者に確認し、あればそこのチェックも忘れてはいけません(このような出入口はVIPの宿泊がない場合には閉まっていることが多いです)。東京の敷地面積が小さなホテルの中には、地上レベルにお忍びのVIPが利用できる出入口/車寄せがなく、地下駐車場に設けられた出入口を勧めてくるところがあります。地下は出入りのポイントが絞りやすくチョークポイントになりやすいです。特に地下へ/からのスロープがまっすぐではなくループ状の場合にはスピードが落さざるを得ないため特に特に注意が必要です。地下入り口をVIPの出入口の選択肢に入れる場合には、車列に車高が高い車があっても問題がないように高さ制限の確認も忘れてはいけません。地上レベルの出入り口を使用する際は、万が一の際に車(列)が止まらずにまっすぐ通り抜けが出来るか、もしくはサッとマヌーバー(Maneuver)が出来るスペースがある車寄せを確保できるようにしたいものです。

車寄せにいるホテルの従業員が勝手に車列の車に近寄ったり、車のドアを開けたりしないようにホテルの担当者にしっかり伝えておく必要もあります。

出入口はホテルに限ったことではありませんが、回転ドアの使用は避けるようにします。

クライアントが著名人の場合には、支配人や従業員が到着時に入口で待っていて花束やギフトを渡したいという場合があります。そのような場合には、直接渡すことは避けてもらいプロトコールを通して渡すように促すか、どうしても手渡しをしたいという場合には、当日アドバンスがチェックをしてから渡すように手配をする必要があります。ホテル側のホスピタリティとしてホテルの支配人もしくは従業員がVIPを部屋まで案内したいという申し出があった際には、警護的には出来るだけ少人数で迅速に部屋まで移動したいので断れるのなら断る、どうしてもという場合には人数制限を設けるようします。

ホテルにとってのクライアントの重要度によっては、部屋までエレベーターを専用モードで待機させてくれるサービスがあったりもします。そういったサービスを受けられるか確認も大事です。日本人は、図々しく色々サービスを要求することに躊躇しますが、聞くのはタダ、ダメもとで聞いてダメならそれまでですし、してもらえるのならラッキー、思い切って色々聞いてみる必要があります。

聞くといえば、クライアントの宿泊期間中に他にもVIPの宿泊の予定があるか確認すると良いです。同時期に2名以上のVIPが同じホテルに宿泊しているとエレベーターの専用モードが希望時間に使用出来ない可能性もありますし、車寄せに他の車(列)が先に待機していた際には、出入口を変えるか出入りの時間を変える等の対応が必要になります。ホテルも他の客の情報をそう簡単には教えてくれません。そこはアドバンスの腕の見せ所となります。

大抵のホテルには、警備室があり、そこで監視カメラによる監視をしています。国連の場合には、警備室に行き監視カメラの映像を一度全て見せてもらいどのぐらい監視カメラでカバーできているか確認しています。民間の警護の場合、そこまで許してもらえないでしょうから、ホテルを歩き回りどこに監視カメラがあるのか把握しておくことも重要です。

ホテルの警備員と連絡を取る際には、過去にホテルで起きた火災や盗難などの事件、事故があれば、その詳細を聞きます。何人の警備員が、どのようなパトロールをしているのか等の警備プラン、火災の際の避難プラン、他の国に比べて地震が多い日本の場合には地震の際の避難プランも確認します。警備室直通の電話番号、警備責任者の連絡先を聞くことも忘れていけません。番号は、警護チーム内でシェアをするようにします。ホテルの最寄りの警察署、消防署、病院などの情報もホテルの警備室で手に入れることが出来ます。

もしホテル側の警備員がクライアントの部屋があるフロアも定期的にパトロールをする場合には、最低でも警備員の顔写真、名前ぐらいの情報は提供してもらうようにします。出来るだけフロアに来る警備員の数を制限し、可能な限り同じ人にしてもらうよう手配する必要もありあす。


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