日本でCPO講座を受けられる時代へ
— 警備教育のあたらしい選択肢として —
警備という仕事は、日々の積み重ねが求められる責任ある職業です。
突発的な出来事にどう対応するか。目に見えないリスクをどう読み取るか。そして、何より、守るべき対象に対して誠実でいられるか。
その根底にあるのは「学び」と「訓練」であると、私は現場に立ち続けるなかで確信するようになりました。
しかし、日本国内には、現場の警備員が体系的に学べる教育プログラムは、まだ十分とは言えません。
そこで私たちFJ Protection Serviceでは、国際的な警備資格「Certified Protection Officer(CPO)」講座の日本国内提供を正式にスタートすることといたしました。
これは、私自身がIFPO(International Foundation for Protection Officers)認定のCPOI(Certified Protection Officer Instructor)資格を取得したことによって実現した取り組みです。

なぜ今、CPOなのか?
CPOは、IFPOが認定する国際的な警備資格で、警備業務に求められる知識と実務スキルを、12のユニットに分けて体系的に学ぶ構成となっています。
その内容は以下のように、現場で即座に活用できるものばかりです:
- パトロール業務と観察技術
- リスクアセスメントと脅威評価
- 緊急時対応と災害対策
- 情報セキュリティとプライバシー保護
- 対人スキルと倫理
- 報告書の書き方と法的知識 など
特徴的なのは、単なる暗記や試験対策ではなく、「考える力」「判断する力」を育む内容が中心であるという点です。
そしてこの資格は、すでに欧米、中東、アジア各国で導入されており、空港・港湾・大規模商業施設・高級住宅地・金融機関など、より高い水準の警備が求められる現場で活用されています。
ASISのCPPとの比較:CPOの位置づけと利点
警備業界で「国際資格」と聞くと、ASISのCPP(Certified Protection Professional)を思い浮かべる方も多いかもしれません。CPPは確かに世界的な認知度が高く、管理職やコンサルタントを目指す方には適した資格です。
ただし、CPPには次のような受験ハードルがあります:
- 7年以上のセキュリティ業務経験(うち3年以上は管理的職位)
- 英語による高度な試験
- 米国大学レベルの知識を問う内容も含まれる
それに対し、CPOはより実務的かつ現場に近い人材向けの資格であり、以下の点で非常に取り組みやすくなっています。
- 警備経験が浅くても受験可能(実務年数の制限なし)
- 日本語サポート付きで学習可能(FJ Protection提供予定)
- CPPほどの準備負担がなく、キャリアのスタート地点でも取得が可能
- 履歴書(Resume)に記載でき、国際求人でアピールポイントとなる
つまり、CPOは「これから警備でキャリアを築いていく人」が最初に手にするべき国際資格であり、ステップアップの土台となる存在なのです。
CPOI取得までの道のりCPOI取得までのプロセス
(※以下は2025年春現在の情報に基づきます)
CPOIを取得するには、いくつかの明確な要件と、提出すべきドキュメントが定められています。
① 応募資格を満たすこと
まず申請のためには、次の条件をクリアしている必要があります。
- CPO資格を現在有効な状態で保持していること
- IFPOの会員であること
- 最低5年以上の教育・指導経験、またはIFPO提供の「Train the Trainer」コース修了者
- 3年以上の包括的な警備・保護業務の実務経験
- 学士・短大卒などの高等教育機関での学位、または同等の専門的訓練履歴
このうち「教育経験」と「実務経験」については、過去に警備教育の講師として活動した実績を、自分で文書化して証明する必要があります。私の場合、これまで行ってきた訓練や研修会、セミナーなどの記録を整理し、具体的な日付や内容、指導対象、使用教材などを記載した書式にまとめて提出しました。
② 実技課題(Practical Exercises)の作成と提出
この部分がCPOI申請の核心とも言える重要なステップです。以下の構成で文書を作成し、PDFにしてIFPO本部に送付します。
- SECTION I:本人誓約書(Affidavit)
→ すべての提出内容が自身の手によるものであることを、署名と証人のもとで証明します。
(※日本にはNotary制度が一般的でないため、私は勤務先上司の証明で代用しました) - SECTION II:教育へのコミットメントと計画
→ なぜ自分がCPOIを目指すのか、どのような対象者に、どんな環境で指導するのか。自分の教育理念を明確にする必要があります。
私は日本の警備業界の課題や、自社での教育の必要性をふまえて記述しました。 - SECTION III:教育プログラムの具体的提案(5ページ以上)
→ 実際にCPO講座を自社・自組織でどう導入するのか。法定研修との接続や、学習評価・PDCAサイクルの活用、教材の活用法、文化的配慮など、かなり実務的な内容が求められます。
FJ Protectionでの導入を前提に、現場の特性や受講者層、法的要件との整合性も含めて構成しました。 - SECTION IV:オリジナル試験問題(60問)
→ CPO教材12ユニットそれぞれについて、4択式の選択肢付き設問を5問ずつ(計60問)作成。
正解を明記し、すべて自作である必要があります。私はIFPOテキストに加え、ASIS基準、日本の警備法規、学術書など多角的な文献を引用しました。 - SECTION V:参考文献リスト(APAスタイル)
→ 使用した参考資料はすべて、著者名・出版年・書名・出版社・ページ番号までをAPAスタイルで記述。
信頼性ある教材を使い、情報の正確さが審査で重視されます。
③ 審査と結果
提出後、IFPO本部からは2日ほどで「CPOI認定」の結果が通知されました。
そして、IFPO公式サイトにてCPOI認定者一覧を確認したところ、2025年4月時点で日本からの登録者は確認されず、おそらく私が国内初のCPOI取得者であると考えられます。
FJ ProtectionでのCPO講座提供について
今後、FJ Protectionでは以下の形でCPOプログラムを展開してまいります。
- 日本語サポート付きのCPO講座(2025年夏以降、開講予定)
- 現場事例を用いたリアルなケーススタディを導入
- 法定研修との連携・上乗せ形式での導入支援
- 企業向けカスタム研修プログラムの開発・提供
- 修了者へのCPO試験申請サポート・キャリア相談
受講希望者の声をもとに、初回の開催日程も検討中です。
最後に
資格はゴールではなく、「学び続ける覚悟」のスタートラインです。
FJ Protectionは、「現場で活きる警備教育」を一人でも多くの方に届けることで、日本の警備業界に小さな変化を積み重ねていきたいと考えています。
CPO講座に関する詳細やご相談は、どうぞお気軽にお問い合わせください。
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