クライアントにもよりますが警護業に従事していると、レッドカーペットイベントで警護をする機会が多くあります。レッドカーペットはセレモニアルの意味合いがとても強く、多くのメディアがレッドカーペットを歩く招待客を写真に収めようと狙っています。もちろんリスクを無視することは出来ませんが、このようなイベントではクライアントのイメージにも配慮して、(文化の違いによる警護スタイルの違いでも書いた通り)ボディガードはクライアントと少し距離を置きメディアにクライアントの写真を撮るチャンスを与えます。このようなイベントで周りをがっちりボディガードに囲まれているクライアントは、あまり見栄えが良くありません。そのためボディガードは、出来る限りレッドカーペットの上を歩かないようにします。
大抵の場合、レッドカーペットの幅は90㎝~1m程度なので、ボディガードがわざわざレッドカーペットの上を歩かなくても、緊急時にはすぐ対応できる距離でもあります。逆に言えば、その程度の距離も開けられないほどの脅威が考えられる場合には、イベント自体に欠席するようクライアントに助言する必要があります。それでもクライアントが脅威を理解したうえで参加を強行する場合には、外層の警備を強化するなど更なる対策等が必要となります。
また経験を積むことにより、メディアがどういった画を狙っているのかが分かってきます。それにより、クライアントのすぐ傍にポジションを取っていてもカメラのフレームの中に入らない場所が分かってきます。こうしたポジションが分かってくると、クライアントのイメージも守りつつ、十分に警護をすることが出来るようになります。
時々、パパラッチのようにクライアントを執拗に追いかけるメディアもいるために、ボディガードの中にはメディアを嫌う人もいます。しかし、彼等もボディガード同様に自分の仕事を全うしようとしているだけだと理解し、脅威がないことが確認できた場合にはメディアが仕事をしやすい環境を作ってあげることで、人間ですからメディア側もボディガードの仕事を理解してくれ、次第に協力的になってくれます。撮られても問題ない際に、メディアに気持ちよく撮らせることで満足してもらい、撮られたくない場面を隠す等のコントロールが可能になります。「ペンは剣より強し」とも言われますし、メディアと良好な関係を築くことは警護の上でもとても重要です。
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