情報取集は、ボディガードの仕事の1つです。恥ずかしい話ですが、国連本部で警護職に就くまで世界情勢などに興味はなく、当然ニュースをチェックすることも皆無でした。しかし、警護職に就いてからは、モーニングルーティンの中でニュースをチェックするようになりました。
国連本部には、Office of the Spokespersonに国連事務総長と副事務総長に関わるニュースを集め分析する専門職が存在し、警護官にも定期的にニュースフィードとしてメールが送られてきます。国連でなくても、クライアントがコーポレート・エクゼクティブ(重役)となれば、会社の広報が同じようにニュースギャザリングをしている場合がよくありますので、シェアをしてもらうと良いでしょう。ボディガードは、そうしたメールを読むだけでもかなりクライアントを取り巻く状況が分かります。しかし、警護の情報収集としてはこれだけでは不十分なため、自身でもニュースをチェックします。
今は便利な世の中になり、自分が知りたい、そして必要な情報(ニュース)だけがまとめられるアプリもたくさん存在しています。参考までに、私は現役時代、「ニュースパス」というアプリを利用していました。どのアプリも大体使い方は同じようなものだと思いますが、ニュースパスは気になるキーワードを設定すると、そのキーワードが含まれるニュースが一覧できるようになっています。
設定するキーワードは、(1)クライアントの名前、(2)クライアントの会社名/組織名、(3)クライアントの業界、(4)所在地や出張先の都市名、(5)宗教、人種、社会的地位等、クライアントがターゲットにされる原因となりえるもの、(6)もしクライアントが特定の団体から脅威がある場合には、その団体名などです。
例えば、アジア人のクライアントがニューヨークに出張に行くのであれば、「AAPI Hate Crime in New York City」というキーワードが含まれたニュースは随時チェックしておく必要があります。当然ながら情報が多ければ多いほど、傾向と対策が立てやすくなります。
ニュースには、良いニュースと悪いニュースがあります。広報は、どちらかといえばクライアントに対して好ましいニュースを中心に集めますが、ボディガードは逆に良くないニュースを重点的にチェックします。その時点では特に問題ではないことでも、後に脅威となる可能性を含むニュースをより注意深くチェックします。著明人の場合、過去の発言や行動が、時を経て問題となることもあります。
ニュースに慣れていない人は、読むコツがわからずに時間がかかってしまうので、ボディガードを目指す人は日頃から新聞やニュースから社会情勢を知る癖をつけるようにしましょう。
カテゴリー
投稿一覧は、こちら